健康診断で数百円のオプション、含まれていることも
「大腸がん検診というと大腸内視鏡検査や大腸CT検査を思い浮かべる人が多いのですが、最初から身体に負担のかかる検査をしなくても、便潜血検査で十分です。便潜血検査は、初期の大腸がんなら8〜9割を発見することができる性能の良い検査です。くわえて、半世紀近い歴史を持つ検査方法です。対象は40歳以上で、頻度は年に1度です。
便潜血検査は会社勤めの方であれば健康診断の項目に含まれていることが多いです。あるいはフリーランスの方の場合でも、便潜血検査を数百円のオプションで受けることができます。お住まいの自治体にご確認ください」
もしも便潜血検査で(+)と出ても、慌てる必要はないのだという。
「さまざまな要因によって便に血が混じることがあります。実際、便潜血検査で(+)と出たとしても、大腸がんである確率は極めて低いものです。ただ、確率が低いことと、放っておいていいことは別です。(+)は大腸のどこかで出血している可能性があるということですから、必ず病院で調べてもらってください。もし初期のがんが見つかっても、その段階なら取ってしまえます。それがいちばん楽に済ませる方法です」
「採便1回」に変わっても“できれば2回がいい”
一方で、便潜血検査をおこなううえで、留意してほしい点があるという。
「これまで、便潜血検査は2回法が採用されてきました。その名の通り、異なる日の便を2回(2日分)検査する方法です。しかし2027年度から、1日分だけの1回法で検査することが可能になる予定です【3】【4】。「1回法と2回法による統計学的な有意差は示されなかった」というのが理由のようです。
おそらく手間を減らすことで大腸がん検査をする人を増やす狙いがあるのだと思いますし、1回法であってもまったく検査をしないよりは良いとも考えられます。
ただ、がんは常に大腸のなかで出血を起こしているわけではなく、一時的にかさぶたのような状態になっている場合があります。もしも検査のときにそうした状態だとすると、結果としては(-)と出てしまうわけです。したがって、大腸がんの可能性をより大きく排除したい場合には、2回調べてもらうほうがよいと私は考えています」
せわしなく働く現代人にとって、「より手軽で簡便な検査方法があればそれで済ませたい」というのが本音だろう。だが簡便な検査方法だけを選ぶリスクもあるのだと奥田さんは注意喚起する。
「日々慌ただしく生活していて時間がなく、わずかな余暇でがんの検査を受けることはあまり気分のいいものではないかもしれません。『可能なら手軽に』と考える気持ちもわからなくはありません。その代表的な例として、採血によってがんかどうかを見分ける腫瘍マーカーが広く認知されていると思います」

