休んでも取れない疲れは何が原因か。医師の古賀智裕さんは「心の奥底でくすぶる怒りの炎のように、エネルギーが静かに消耗し続ける炎症により、全身の倦怠感や痛み、頭がさえないなどの疲れが生み出される。厄介なのは、これらの症状が互いに悪循環を引き起こすという点だ」という――。

※本稿は、古賀智裕『科学でわかった疲労の正体』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

片頭痛がひどいアジア人女性
写真=iStock.com/ArtistGNDphotography
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疲れの背景にある「免疫による炎症反応」

「体はなぜこんな状態になるのか?」――本稿では、疲労を引き起こすメカニズムを解説していきます。

疲労の原因を知ることでその対処法も見えてきます。

体や脳が酷使されると「炎症」という反応が起こります。わかりやすくたとえるなら、ダメージを受けた細胞で火事が起きた状態です。これがスタート地点になり、疲労に対する生理現象が起こっていきます。

なお、ひとつ大切なことをお伝えしておきます。「疲れ=炎症」という単純な図式ではありません。正確には「疲れの背景に、免疫による炎症反応が深く関与していることがある」ということ。

本稿で扱うのは、その深い関与、すなわち「炎症と免疫」についてです。

「疲れ」と「免疫」を結びつけて考えたことはありますか? 疲れは筋肉や脳の問題、免疫は風邪の引きやすさの問題――そんなふうに別々に思い描いている方がほとんどではないでしょうか。

しかし実は、この2つは体の奥深いところでしっかりつながっています。その架け橋となるキーワードが、先ほども述べた「炎症」です。

そもそも、疲労のもとになる炎症を起こすのが免疫の働きです。

これは、酷使されて傷ついた細胞がSOS信号を出すことで、免疫細胞(マクロファージ・肥満細胞など)がそれをキャッチして活性化、すると免疫細胞がヒスタミンやサイトカインといった炎症物質を放出することで炎症が起きる、というメカニズムによるものです。

なお、免疫が引き起こした炎症を鎮めるのもまた免疫の働きです。炎症を鎮めることは、炎症が関与する疲労からの回復につながる可能性があります。

このように、疲れと免疫は切っても切り離せない関係にあります。このことを前提として、本稿は疲労が起きるメカニズムに迫ります。炎症や免疫の働きを知ることは、疲れへの対処を考える手がかりになります。