休んでも取れない疲れには、何をするといいか。医師の古賀智裕さんは「ミトコンドリア・炎症・自律神経の異常などが、慢性疲労症候群の症状に関わる可能性がある。睡眠や食事を整えることは、症状への対処を支えるアプローチになる」という――。

※本稿は、古賀智裕『科学でわかった疲労の正体』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

シナモンロールを食べるビジネスウーマン
写真=iStock.com/AH86
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エネルギーの回復を支える4つのアプローチ

その人がその日に安全に使える活動の量を表す「エネルギーの水槽」を管理するために、科学的に有効と示されているアプローチが4つあります。

①睡眠の質の改善(十分な睡眠を確保し、睡眠障害に対処する)
②抗炎症食(地中海食など、栄養の偏りを抑えた食事を心がける)
③腸内環境への配慮(食物繊維などを無理なく取り入れる)
④自律神経症状への対処(無理のない呼吸法や起立不耐症への対応)

どれも「劇的な即効性」を持つものではありませんが、体調に合わせて取り入れることで、症状の軽減や生活のしやすさにつながる可能性があります。効果には個人差があるため、医師とも相談しながら継続することが大切です。

ミトコンドリア・炎症・自律神経は、互いに影響し合う可能性があります(図表1)。ただし、すべての患者さんに同じ異常があるとは限りません。次に紹介する回復の柱は、生活のさまざまな側面から症状への対処を支える方法です。

◯柱① 深い眠りが修復を起動する

睡眠中には、体の回復に関わるさまざまな生理的変化が起こります。特にノンレム睡眠の中でも深い「徐波睡眠」は、成長ホルモンの分泌や損傷した細胞の修復、免疫系の調整と関係していると考えられています。

回復を支えるために、十分な睡眠を確保し、睡眠障害があれば治療することが大切です。「寝ても疲れが取れない」「眠りが浅い」という訴えがあっても、必ずしも徐波睡眠の減少があるとは限りません。必要に応じて、睡眠時無呼吸症候群などがないか調べます。

睡眠を整えることは、体の回復を支える土台になります。ただし、深い眠りを増やすだけで慢性疲労症候群が改善するとは限りません。

睡眠環境を整えて、深い眠りを取り戻した患者さんも、朝の疲労感が目に見えて改善しました。そのことについて「睡眠改善だけで日中に動ける時間が2割ほど増えた気がします」と話しています。