疲れを感じないときには、身体の中で何が起こっているのか。医師の古賀智裕さんは「疲労と疲労感にはズレがある。『疲れを感じないから大丈夫』と無理を続けることが、長引く疲労や健康障害につながるおそれがある」という――。

※本稿は、古賀智裕『科学でわかった疲労の正体』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

机にコーヒーカップ、突っ伏した人
写真=iStock.com/ FatCamera
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「疲れた」という言葉に潜む真の意味

「疲れた」という一言に、実は2つのまったく異なる意味が含まれていることをご存知でしょうか。

まずは「疲労」。これは、体の中で実際に起きている機能の低下のことを表します。そしてもうひとつが「疲労感」。

これは、「疲れた」という自覚症状、つまり主観的な感覚のことを表しています。

ここで注目したいのが、疲労と疲労感にはズレがあるということです。正常な状態では、体や脳が疲れれば、「疲れたな」という自覚があります。

しかし、身体的には疲れているのに、疲れを感じない。または、通常の検査や周囲から見える様子では大きな変化がなくても、「疲れているな」と感じることがあります。

この2つの違いを、図表1で整理してみます。

【図表1】「疲労」と「疲労感」の違い
※ 両者を区別することが、正しい疲労対策の第一歩(出典=『科学でわかった疲労の正体』)
出典:CDC IOM 2015 Diagnostic Criteria

この違いは、なぜ重要なのでしょうか。