睡眠の質を上げるにはどうすればいいのか。東京都健康長寿医療センター研究所部門長の青栁幸利さんは「睡眠の質は夜だけで決まるものではない。もっともシンプルで効果的なのが『歩くこと』だ。体内時計がリセットされ、より強く睡眠リズムが整う、歩くのに最適な時間帯がある」という――。

※本稿は、青栁幸利『歩く人がすべて手に入れる 医学的に正しい最強の歩き方』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

歩いている人の足
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睡眠は記憶を定着させる脳の夜勤の時間

記憶力を高めたいとき、多くの人は「どう覚えるか」を考えます。何度も読み返す。メモを取る。声に出す。繰り返し練習する。もちろん、どれも大切です。ですが、記憶にはもう1つ、見落とされがちな大事な要素があります。

それが、眠っている時間。私たちはつい、記憶は「覚えた瞬間」にできたように感じてしまいますが、実際には、記憶はインプットしただけでは完成しません。

脳の中では、そのあとに「整理する」「残す」「いらないものを捨てる」という作業が必要で、その作業が最も活発に行われるのが睡眠中であることがわかっています。

そう言われると、不思議に感じませんか? 睡眠は休息する時間じゃないの? と思いますよね。

実は、睡眠は記憶を定着させるための、脳の夜勤の時間でもあるのです。この「脳の夜勤の時間」に重要なのが、「グリンパティックシステム」と呼ばれる仕組みです。

これは2012年に発見された比較的新しい概念で、脳の中に溜まった老廃物を外へ洗い流すシステムとして注目されています。名前は少し難しく感じるかもしれませんが、役割はとてもわかりやすく、いわば「脳の掃除機能」です。