「消費」と「エネルギー供給」が弱い

中国は世界最大の生産力を持ちながら、構造的な大きな弱点を2つ抱えている。

一つは消費の弱さだ。巨大な工場で作られた大量の製品を、国内では吸収できなくなっている。14億人の人口を擁しながら、中間層の消費は伸び悩んでいる。

だからこそ、14億人というほぼ同規模の人口を持つインドの市場は、中国にとってきわめて重要だ。インドの対中貿易赤字は年間1000億ドルを超える規模に達している。

もう一つはエネルギー供給力の弱さである。

中国は石油の大半と天然ガスの相当部分を輸入に頼っている。そこで重要なのがロシアだ。ロシアは中国にとって最大級の原油供給国であり、中東からの供給が不安定化した2026年には中国によるロシア産原油の調達が一段と増加した。8月にはロシア産が中国の海上原油輸入の23%を占めている。

※CREA「August 2026 ― Monthly analysis of Russian fossil fuel exports and sanctions」

つまり、インドは中国の「消費問題」を、ロシアは中国の「エネルギー問題」を解決するのに重要な存在なのである。反対にいえば、この両国との関係が大きく悪化すれば、中国の「世界の工場」モデルにも大きな打撃となる。

習氏が両国との関係構築に必死になる理由は、まさにここにある。

なぜいま「脱中国」へ動くのか

インドと中国の関係は表面的な「改善」とは裏腹に、構造的な対立が解消されていない。

その背景には、ヒマラヤを挟んだ軍事的緊張、中国とパキスタンの「岩のように堅固な」関係、そして1000億ドルを超える対中貿易赤字という構造的な問題がある。インドにとって中国は、「商売はしなければならないが、依存すれば安全保障上の弱点になる」相手なのだ。

ここには大きな疑問がある。インドはなぜいま脱中国に向けて動き始めているのか。

重要な理由の一つが、「技術や部品の供給元が中国だけではなくなりつつあるから」だ。

インドが中国から輸入しているのは、自動車部品、電子部品、医薬品原料など、製造業に不可欠な部品・素材だ。これらを中国以外から調達できる体制が整いつつある。