どのような歪んだ論理がプーチンを駆り立てたのか
ドロフスク=ヤホディン検問所は一時、運用停止に追い込まれた。ビルト氏はXにドローン攻撃で炎が上がる動画とともに「これは私たちが乗っていた列車ではなく、国境検問所で私たちのわずか数分後ろにいた列車だ」と投稿した。
「ロシアのドローンが接近したため乗客は避難させられ、負傷者はいなかった。非常に優れた安全システムが機能した。私たちの列車にも避難の警告が出たが、そのままポーランド側のドロフスクまで進むことができた。ウクライナに対するロシアの攻撃は激化している」(ビルト氏)
ジョンソン氏もXで「国境付近で停車中のウクライナの機関車を爆破するよう、どのような歪んだ論理がウラジーミル・プーチン露大統領を駆り立てたのか私には分からない。これこそウクライナの人々が耐え忍んでいる無差別かつ理不尽な攻撃だ」と非難した。
「ウクライナ鉄道の職員1700人がプーチンによる攻撃の犠牲となった」
「ウクライナ鉄道の職員1700人がプーチンによる攻撃の犠牲となった。彼らと日々列車を利用する乗客は英雄と呼ぶにふさわしい。私たちはいつになったら彼らが必要とする防空システムを提供するのか。なぜプーチンの凍結資産をウクライナに渡さないのか」(ジョンソン氏)
「ベルギーの銀行口座には1400億ユーロ以上、ロンドンにも100億ポンドの資金が眠っている。英国こそ主導権を発揮できるはずだ。私たちが本気になり彼らが当然受けるべき支援を提供すれば、この恐ろしい戦争をはるかに早く終わらせることができる」(同)
これに対し、ロシア国防省は「欧州諸国から軍事貨物を輸送するために利用されているウクライナ西部の鉄道インフラを引き続き攻撃目標とした」と主張し、攻撃対象は西側からの兵器輸送を支える兵站拠点だったと正当性を強調してみせた。
狙いは「線路を切断する」から「輸送能力を消耗させる」に
今年1月から8月23日までにウクライナの鉄道インフラへの攻撃は1534件に達し、昨年1年分を上回る。今年上半期だけで192両の機関車が損傷した。22~25年の累計217両と比べると、攻撃の狙いが「線路を切断する」から「輸送能力を消耗させる」に移ったことが分かる。
外交団列車の運行情報を把握したロシアが狙った可能性は否定できないが「プーチンがジョンソン氏暗殺を命じた」「クレムリンからの警告」を裏付ける証拠はない。ロシアは旅客列車・機関車、鉄道車両基地、物流施設、ウクライナと欧州を結ぶ国境検問所への攻撃を強めている。
ジョンソン、ビルト両氏ら外交団が巻き添えになっていた可能性は否定できない。ロシアがウクライナと欧州をつなぐ物流・外交・人的交通の生命線を戦場化し、NATO加盟国のすぐ手前まで前線を拡げようとしている。米国に何も期待できない今、欧州の覚悟が改めて試されている。
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