日本円に対しても下がるユーロ

外国為替市場で急速なユーロ安が進んでいる。ユーロの対ドル相場は、8月中旬から9月初旬にかけて1ユーロ=1.16ドル前後で推移した後、9月末にかけて下落が加速した。10月に入ると1.13ドルを割り込み、5日と7日には一時1.11ドル台まで下落し、2025年5月以来の安値圏にある。8日も1.12ドル前後で推移している。

ユーロ安の一因は米国にある。米国では長期金利の上昇が続き、10年物国債利回りは10月7日に一時5.36%程度と、2002年以来約24年ぶりの高水準に達した。その後は国債入札で旺盛な需要が確認されたことから5.3%を下回ったものの、依然として歴史的な高水準にある。

堅調な景気や根強いインフレ圧力を背景に、金融市場では米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを長期化するとの見方が強まっている。金利の先高観からドルに資金が流入し、ドル高・ユーロ安が進みやすい環境となっている。

(左から)FRBのウォーシュ議長、日銀の植田総裁、欧州中銀のラガルド総裁
写真提供=共同通信社
(左から)FRBのウォーシュ議長、日銀の植田総裁、欧州中銀のラガルド総裁

だが、最近のユーロ安を米国の金利上昇だけで説明することはできない。ユーロはドルだけでなく、円やスイスフランなどの主要通貨に対しても下落している。背景には、欧州固有の三つのリスクがある。エネルギー純輸入地域としての構造的な脆弱性、フランスを中心に強まる財政への懸念、そして主要国で相次いで表面化する政治的不透明感である。

エネルギー純輸入という構造的な弱点

第一は、エネルギー価格の再高騰で改めて浮き彫りとなった欧州の脆弱性である。中東情勢の緊迫化や世界的な資源需給の逼迫を受け、原油や天然ガス、ディーゼル燃料の価格が上昇している。北海ブレント原油先物価格は1バレル=100ドルを再び突破し、オランダTTF天然ガス先物も1メガワット時=70ユーロを上回って推移している。

エネルギー価格の高騰を受け、G7は10月2日、向こう4カ月で最大1億バレルの原油・石油製品を市場に放出する方針を表明した。特に供給不足が深刻なディーゼルについては前倒しで放出する。なかでも、気掛かりなのは天然ガス価格の上昇だ。今年は欧州のガス在庫が歴史的な低水準で推移しており、冬場の需要期が近づくなか、今後の気温やLNG供給次第では需給が一段と逼迫する恐れがある。