経営者のどこを見ているのか?

このボトムアップリサーチが、スパークスの創業以来の投資哲学といえます。だから、ウチのアナリストは一人あたりで年間100回ぐらいは企業を訪問します。経営者に会うことはもちろん大事ですが、例えば受付の対応だったり、ちょっとしたところでどういう会社かわかったりするんですよね。

阿部修平、藤吉雅春『コンパウンドグロース投資 世界を牽引する日本の新時代』(リンクタイズ)
阿部修平、藤吉雅春『コンパウンドグロース投資 世界を牽引する日本の新時代』(リンクタイズ)

【藤吉】例えば経営者に会ったとして、具体的にどこを見るんですか。

【阿部】ちょっと抽象的な言い方になってしまいますが、お金というのは最も「心地よい」ところに流れるものなんです。「心地よい」というのは、つまり経営者が自分の商売のことをよくわかっている、という意味ですね。経営者は自分がやっている商売のことをよくわかってこそ、自分のお金をすべて注ぎ込める。だからお金にとって「心地よい」空気が流れている会社が、我々が投資すべき会社ということになります。

【藤吉】逆に「こういう経営者には投資しない」というポイントはありますか?

人間性を欠いた経営者とは付き合えない

【阿部】やっぱり経営者って人間性が大事だと思うんですよね。実際に「面白いビジネスアイデアだな」と経営者に会いにいって投資を始めたものの、付き合っているうちにその経営者に違和感を覚えて、投資をやめたことがあります。「とにかく会社が儲かればいい」という価値観の人だったんですよね。儲けることはもちろん大切なんですが、会社には本来、企業活動を通じて社会を豊かにするという社会的使命がある。そこに鈍感な経営者とは付き合えないと思いました。結局、その会社はそれから数年で経営破綻してしまいましたけどね。

【藤吉】その話を聞いて、ヨーゼフ・シュンペーターの「起業家論」を思い出しました。彼は「資本主義とは、内側からふるい構造を破壊しつつ新しい構造を創造するプロセスである」として、起業家とは単なる経営者ではなくて、その革新を起こす人なんだと言っています。

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