最高益更新、構造改革の真っただ中、イノベーションの途上……。それぞれの局面で求められているのはどのようなリーダーなのか。
取締役を経験せず52歳の若さでいきなり大丸社長に就いたのが10年前。以来、流通再編の舵を切った奥田務前CEOの懐刀として成長し、今年持ち株会社の社長に就任した。目下、アベノミクス効果もあり、高額消費が追い風だ。主力の婦人服も回復。外商では30~40代のニューリッチ層が台頭している。従来の発想に囚われない新百貨店モデルを打ち出し、マーケット志向で新しい顧客の取り込みを狙う。明大バスケ部主将としてインカレ3連覇を経験。OB会長も務める体育会系経営者だ。
――思い出に残る仕事は?
【山本】奥田前CEOのもとで営業改革を担当したことだ。自分自身も1番勉強したし、仕事自体もチャレンジングなものだった。当初「最大の顧客満足を最小のコストで実現しなさい」「仕事の業務運営はゼロから見直して、効率的な方法を考えなさい」というミッションを与えられた。
ただ具体的な問題はわからないし、答えもない。自分で問題を探して、答えを書く。そこでどうするか。現場の分析から始まって、百貨店がどんなコスト構造になっているのか、どんな仕事のやり方なのかを徹底的に研究した。それまで営業企画的な仕事をしてきたが、百貨店の全容をわかっているわけではなかった。
トータルで見ると、自分たちが考えていた以上に百貨店の中はムダだらけだった。その解決手法をマスタープランにまとめ、現場に指示した。ところが、従来のやり方を変えることには抵抗があった。現状がうまくいっているからいいではないかという声が強くあった。