最高益更新、構造改革の真っただ中、イノベーションの途上……。それぞれの局面で求められているのはどのようなリーダーなのか。

丸の内、大手町など金融の中心地から遠く離れた江東区木場に本社をおく。応接室の窓から見えるのは住宅地と中小企業。この景色こそ「私たちのお客さま」だと常に肝に銘じている。軽快に動き、銀行トップ特有の圧迫感はない。東和浩新社長は、2012年11月に死去した細谷英二会長の下で財務担当を務め、公的資金の返済計画を立案した。財務・企画畑と言われるが、若い頃は資本市場畑を中心に過ごした。

――思い出に残る仕事は?

【東】若い頃に勉強になったのは、取引先の大手製薬会社に出向したときだ。期間は半年ほどだったが、3年分の価値はあった。それまでは机の上で「お客さまの悩み」について想像するしかなかったが、実際にお客さまの組織で働いたことでいろいろなことに気づくことができた。