相手から届く「ほめ返し」

さて、心理学では「返報性」という考え方がありますが、ほめられた人は、ほめてくれた相手のことを自然とほめたくなります。いわゆる「お返し」ですね。

SNSで自分の投稿したものに「いいね!」がつくと、うれしい気持ちになって、相手の投稿にも「いいね!」ボタンを押してしまう気持ちに似ています。

「そんなふうに言ってくださる○○さんが優しいのです」「○○さんこそ親切です」など、思いがけず「ほめ返し」をしたくなるのが、人の心の仕組みなのでしょう。

世の中にもし「ほめる」という行為がなかったら、一体どれほど殺伐とした社会になっていることか、考えただけでもゾッとしてきます。

ちなみに、日本人に比べて欧米の人たちは相手をよくほめるイメージがありますが、先日、海外生活が長かった友人に話を聞いてみました。

その人がスウェーデンとデンマークに行ったとき、空港のスタッフからホテルやレストランのスタッフまで、初対面であるにもかかわらず、スーツケースや服装をとにかくほめてくださったそうです。

最も驚いたのは、女性に道を尋ねたときに、その女性がネイルをほめてくれたことだと言っていました。

もしかしたら、感謝やほめるコミュニケーションをとることで、長く厳しい冬の寒さを温め合っているのかもしれません。

友人曰く、スウェーデンでは、人をほめることこそが、トラブルや争いをなくすことにつながるという考え方が広まっているのだそうです。

「ほめる」が争いをなくす第一歩だとしたら、その一歩をこれからも大切にしていきたいですね。

写真=iStock.com/flukyfluky
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ほめられたら、素直に喜びを伝える

相手からほめられたとき、皆さんはどんなリアクションをしていますか?

「うれしいです!」「ありがとうございます!」と素直に答えている人は、相手を上手に立てています。

その理由は、ほめた人も相手に喜んでもらえたことで、上機嫌になるからです。

「ありがとう」「うれしい」という反応が相手から返ってくれば、自分の思い(相手をほめた)が伝わったことが実感できます。

相手の気持ちがハッピーになったことがわかれば、ほめた人も同じくハッピーな気持ちで満たされるのです。

私はこれを「愛の相乗効果」と呼んでいます。

例えば、「今日の服装かわいいね」「きれいな色のシャツですね」とほめられたとしましょう。「ありがとう!」「ほめてくれてうれしい!」と、素直に喜びを伝えれば、ほめた人もうれしくなって「すごくかわいい」「とてもよく似合っています」と、さらにほめてくれるかもしれません。

さらにほめてもらったら、さらに喜びを伝えましょう。「本当にうれしいです!」「この服、着てきてよかった!」「今日はとてもいい日だ!」という感じです。

年齢や立場に関係なく、愛の相乗効果でお互いの気持ちを上げていきましょう。