会話やメールでの「失言」を避けるにはどうすればいいのか。コミュニケーションコンサルタントの吉原珠央さんは「自分が相手の立場だったらどう思うか。どのような言葉であれば敬意が伝わるか。そうしたことを考えれば、自然と失言は避けられる」という――。
※本稿は、吉原珠央『絶対に後悔しない会話のルール』(集英社新書)の一部を再編集したものです。
失言する人に圧倒的に足りないのは「観察力」である
「(東日本大震災に関して)まだ東北で、あっちのほうだから良かった」
「戦争をしないとどうしようもなくないですか」
「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」
「戦争をしないとどうしようもなくないですか」
「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」
こうした失言と言われる発言は、その一部を切り取ってみるだけでも、耳を疑うような内容ですが、これらはすべて日本の政治家が過去に公の場で話したとされる内容です(この中には政治の中枢で要職についていたような人たちもいます)。
誰が失言したかによっても、その影響力は変わり、そのことで特定の人たちが傷つき、憤慨し、不信感や不安を抱えたり、国益に関わる問題へ発展しかねないという危機感を、私たちは身をもって体験してきたのではないでしょうか。失言の問題については、「リスクマネジメントができていない」「品や教養がない」「常識がない」「うっかり者だから仕方がない」「想像力がなく社会勉強が足りない」など、さまざまな角度からの意見が世間で囁かれています。
たしかに、そうした意見も一理あるかもしれませんが、失言をした人たちに最も足りなかったのは観察力であると私は感じています。誰もが個人的な信念や、価値観を持つことは自由ですし、それらが個性や「その人らしさ」となります。そして、それらを言葉や態度に表す前に、状況や場面ごとに「自分らしさ」の何を引き出し、あるいは引っ込めたりするのか。その見せ方に配慮しながら社会生活を送っているともいえます。