自分の考えを簡潔に伝えるにはどうすればいいか。ビジネス書作家の浅田すぐるさんは「重要なのは伝え方よりも『伝える前の準備』だ。トヨタ自動車で行われている『紙1枚』文化が、その参考になる」という――。

※本稿は、浅田すぐる『「伝える前」が9割 言いたいことが最短で伝わる!「紙1枚」下書き術』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

プレゼンテーションをするビジネスマン
写真=iStock.com/mapo
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「30秒で自己紹介」うまくできますか?

トヨタの「紙1枚」文化を味わうなかで、また1人の社員としてその本質を体現するなかで、私は「伝える前に、資料作成=思考整理を行う習慣」を身につけていきました。

資料作成は、あくまでも手段に過ぎません。目的は、「思考整理」にあります。

思考整理さえできれば、資料作成を伴うコミュニケーション「以外」でも、あらゆる場面に応用可能な道が拓けてくる。そうすれば、「できるだけ話さないですませたい」という本音を抑え込み、日々無理や背伸びをして等身大ではない自分で頑張っている人たちの役に立てるのではないか。

そのような願いから、トヨタの「紙1枚」文化をできるだけ手軽に、誰でも短時間で実践できるようにフレームワーク化したのが、「1枚」フレームワークという手法です。

これまでに55万人以上の読者の方に学んでもらった技術であり、実際にあらゆる年代の人が、様々な題材でこの方法を活用してくれています。

といっても、難しいことは何もありません。3STEPだけでOKです。

これから「30秒間自己紹介」を例にしてさっそく「紙1枚」を書いてみたいのですが、その前に。

「今から30秒間で自己紹介をお願いします、どうぞ」と言われた時、あなたはうまく話せるでしょうか?

伝える前の「情報整理」「まとめる」が大切

・最初のヒトコトが言えずに、ずっと沈黙してしまう……
・途中で何を話しているのか、自分でもわからなくなってくる……
・時間内に話せず、ダラダラとオーバーしてしまう……

こうした悩みの根本原因を、「伝える時になって何とかしようとしても、もう手遅れだから」「伝える前に、やるべきことをやっていないから」だと捉えていきます。したがって解決策は、「伝える前に、思考整理すればOK」となるのですが、ここで問題です。

そもそも「思考整理」とは、いったい何でしょうか。

この問いに答えられなければ、いくら「さあ、伝える前に思考整理するぞ!」と唱えたところで状況は好転していきません。

ここでは、「思考整理とは、2つのプロセスでできている」と定義します。

①考えるベースとなる「情報を整理する」
②自分なりに「考えをまとめる」

これは、料理のイメージで捉えてもらうとわかりやすくなります。

たとえば、カレーを作りたいとなった時、当然ながらカレー粉や野菜、お肉といった材料がなければ何もスタートできません。この材料集めにあたる部分が、「①情報を整理する」です。