日本のジョブ型雇用は年功管理を延命させるだけ
「日本人の初任給は安すぎるのか?」という問題自体、相当に「日本的」だということをまず、お伝えします。
欧米では、ご存じのとおり大規模な新卒一括採用などというものはなく、また、企業が人事権を握って、入社者に成長に応じてポストを与えて昇給をさせていくという育成管理も(一部エリートを除いて)行っていません。そのため、一律に新参者がもらうことになる「初任給※1」という概念自体が非常に希薄なのです。
※1:産労総合研究所によると、2024年4月入社者(大学卒)の初任給額平均は22万5457円。
欧米の場合、空いている仕事をベースに採用が行われ、職歴の浅いものは、その空いている仕事のうち、なんとか入れるポストに潜り込む。もしくは、インターンや職業訓練で入れる仕事をなんとか手に入れる。そういった仕組みで支払われる賃金は「初任給」ではなく、あくまでも、「たまたま入れた仕事の賃金」というものです。
さすがに、一流大学や有名グランゼコールなどを卒業した場合は、エリート採用やリーダーシッププログラム採用(以下LP)などで、職務内容も順次、難度を増していき、それにともない給料もアップするので、その様をグラフにすれば、日本の年功給のように見えるでしょう。
ただ、それは一部の人であり、しかも、その中身も「企業の指示に従って黙々と仕事をしていたら、毎年の査定と、数年に一度の昇級審査で、ノンストレスに上がっていく」ものではありません。あくまでも、上位のポストにチャレンジし続け、乗り越えるから給料が上がるわけで、「ヒラのままでも職能等級が2〜3ランクも上がって大幅昇給する」日本とは異なるでしょう。
日本は「入ったポストで給与は決まり」「その後も、ポストを獲得すれば給与が上がる」。そうではなくて、「同じポストにい続けたなら、ほんのわずかなレンジ内昇給しかしない」というのが欧米、いや世界の常識であり、これが本物のジョブ型雇用なのです。
日本でいま流行っているジョブ型給与は真逆です。もう管理職ポストに空きがなく昇級・昇給できない人に対して、「新たに高給なジョブ」を作成し、万年ヒラ社員の人にまで、やりがいと高給を用意するという、かなり甘い仕組みです。このような日本のジョブ型雇用は、ポストがなくても昇給し続けられるという意味で、年功管理システムを延命させるだけのものでしょう。
それは、職能給が職務給や役割給に変わっても、年功給の弊害を払拭できなかったことの二の舞いになると、早晩結論が出るはずです。
世界では文系大卒者は仕事を得られない
では欧米で、一般大卒クラスで企業になんとかもぐりこんだ場合、給与はどの程度の金額になるでしょうか。エンジニア、それも機電・情報系の場合、それなりの技能を有しており、企業も喉から手が出るほど欲しい人材なので、空きのあるいいポストに初めから決まります。アメリカではまっさらの新卒でも6万ドル(880万円)程度もらえるでしょう。欧州でも4万ユーロ(650万円)は上回るはずです。
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