2024年11月17日、突然バズった
オールドメディアという言葉がある。従来のマスメディア等を指していう言葉だが、ソーシャルメディアなどの新しいネットメディアと対比させるために使われているようだ。最近この「オールドメディアの役割が終わった」と、ネット上でちらほらと聞かれるようになっている。実際にオールドメディアが敗北したのかどうかはさておき、情報空間において「オールドメディア」はどのような存在なのだろうか。
手始めに、このオールドメディアという言葉がいつごろから使われるようになったのかを見てみよう。ソーシャルメディア全盛期は2010年代から始まっているが、マスメディアを「オールドメディア」と称するようになったのはごく最近である。下図にTwitter(現X)での一カ月あたりの投稿数をプロットしてみた。なお、縦軸は対数であることに注意していただきたい。
「オールドメディア」という言葉はTwitter登場直後の06~08年にはほとんど使われておらず、09~16年にも月に100~1000回程度しかポストされない単語だった。17年ごろから徐々に増えて月に1万回程度ポストされるようになり、24年11月に再び爆発的に投稿数が増加し、それまでの10倍以上投稿されるようになった。より詳細に確認すると、11月17日から突然「オールドメディア」という言葉の投稿・検索が増加している。24年11月17日に何が起こったのだろうか。
2024年11月17日といえば兵庫県知事選の投開票日である。兵庫県知事選では、事前評価とは裏腹にパワハラ疑惑などで辞職した斎藤元彦前知事が再選を果たした選挙である。NHKの調査で、選挙の際に参考にしたメディアとしてテレビや新聞を抑えて「SNSや動画サイト」が1位だった(※1)ということも(一部で)大きな話題となった。兵庫県知事選ではYouTube動画やXでの活動が斎藤氏の当選を後押ししたと話題となり「新しいメディアの影響力が従来のメディア(オールドメディア)を上回った」と言われた。従来ソーシャルメディア上での話題が必ずしも選挙結果に直結しなかったことはよく知られており、その意味でもメディア関係者に衝撃を与えるのに十分な出来事だったといえるだろう。
※1:NHK出口調査の結果、「投票で参考にしたこと」のうち、「SNSや動画サイト」が30%、「新聞」と「テレビ」がそれぞれ24%だった。
選挙の際にマスメディア等は情報発信に制限を受けるうえに、兵庫県知事選という地方の首長選挙というローカルな話題であることを考えると、兵庫県知事選においてはマスメディアの情報量が注目度と比較して少なかったのは間違いないだろう。情報を得ようとすればネット上の情報に頼るしかなかったという点では、確かにオールドメディアの敗北かもしれない。もっとも、その後ソーシャルメディア戦略を(ボランティア?で)練っていたPR会社社長のブログが問題になったり、「2馬力選挙」を実施していたNHKから国民を守る党党首の立花孝志氏の言動が問題視されることがあって、本当にソーシャルメディア戦略が良かったのかどうかは今後の更なる検証を経て評価されるものになりそうではある。
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