分散投資は「大儲け」の機会から遠ざかる
昨年からはじまった新NISA制度により、金融商品への投資を行う個人は飛躍的に増加した。同制度をきっかけに株式や投資信託への投資をはじめた方も多いだろう。金融市場でのニューカマーに対し、2024年の投資環境は悪いものではなかった。7月末に日本銀行が不用意な利上げをしたことで一時的な急落に見舞われたものの、結果として昨年末の日経平均株価は一昨年末から6100円ほど上昇した。米国株もS&P500の年平均リターンが20%を超える(※1)などおおむね堅調だったといえる。
その一方で、年明け以降の相場は大荒れが続いている。はじめての本格的な乱調相場に世界の株価動向から目を離せないという人も多いのではないだろうか(乱調相場に心が躍るという人も中にはいるだろうが……)。
大前提として、積立投資の基本は長期保有にある。短期的な乱高下に一喜一憂する必要はない。株価は平均的には名目企業価値から決定される。経済成長によって企業利潤が増加した場合はもとより、世界的なインフレによって企業利潤の額面上の数字だけが上昇したとしても平均的な株価は上昇する。株式のような実物資産(この場合は企業活動)に基づく金融資産は経済成長に取り残されるリスク、そしてインフレリスクを吸収する効果がある。
さらに、長期保有を前提に投資信託を買う人の多くは毎月定額型での購入を選択しているだろう。定額投資はドル・コスト平均法とよばれる投資手法になっている。毎月1万円の積み立てを行うということは、金融商品の価格が安いときに多く買い、値がさのときには少なく買うことになる。これを継続すると、自動的・相対的に安価に金融資産を購入できることとなるわけだ。
相場の乱高下、さらには暴落にみまわれたときこそ長期投資の基本に立ち返る必要がある。定額積立投資を選んでいるならば、株価低迷時の状況を「安く資産形成できている」と考える余裕も必要かもしれない。
長期投資であるからこそ注意する必要があるのはその投資先だ。
投資基本が分散投資にあることをご存じの方も多いだろう。特定企業の株式は、例えば企業に致命的な不祥事があったときには無価値になってしまうかもしれない。一方で数十社の株を同時保有している状況ですべての企業が同時に不祥事にみまわれるという状況は考えにくい。企業だけでなく、業界、国をまたがった投資を行うならばそのすべてが長期的にも価値を減じ続けるリスクは限りなく低くなる。少額での分散投資を可能にする仕組みが、NISA等で多くの人が利用しているであろう投資信託である。
もちろん分散投資はいいことばかりではない。多種多様な金融商品を同時に保有するということは、業績の悪い企業、衰退産業の株、さらには財政破綻国の国債をも同時に保有するということだ。分散すればするほど「大儲け」の機会からは遠ざかっていく。
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