難攻不落のインド攻略のカギとは

ユニ・チャームの商品は日本だけでなく、世界中で愛用されています。とくにアジアでは強く、ベビー用紙おむつはインド、タイ、インドネシア、ベトナムでシェア1位、そのうち、タイ、インドネシア、ベトナムでは生理用品もシェア1位です。

世界の不織布・吸収体カテゴリーには、私たちもベンチマークしているP&GやJ&Jといった巨人がいますが、シェアNO.1ポジションになるまでに成長。なぜ日本発の企業がグローバル大手と伍することができたのか。2008年に進出したインドを例にお話ししましょう。

高原豪久氏
高原豪久(たかはら・たかひさ)
ユニ・チャーム代表取締役社長執行役員。1961年、愛媛県生まれ。86年成城大学経済学部卒業後、三和銀行(現三菱UFJ 銀行)入行。91年ユニ・チャーム入社。2001年より代表取締役社長に。日本経営協会会長。

海外進出を判断する材料の一つが市場の成長のポテンシャルです。市場に入るのにベストなタイミングは成長前期。ただ、早すぎると市場を創出するところから挑戦しなければなりません。インドは布おむつの利用が主流でしたが、当社が進出した時は、すでに先発メーカーが紙おむつを販売。最初に立てていたプランからは少し参入が遅れましたが、それでも成長前期のよいタイミングで参入できたと思います。

紙おむつ市場は先発メーカーの寡占状態でしたが、勝算はありました。先発メーカーが強いのはテープタイプです。一方、私たちはパンツタイプにも独自性や優位性があります。インドは日本の布おむつのイメージとは異なり、ブリーフ型の布おむつを使用する習慣があり、むしろパンツタイプのほうが形が似ていて受け入れられやすかったと思います。

カギを握るのは営業力です。インドは、小規模な個人商店が多数存在します。そこに人海戦術でアプローチして、地道に面を広げていく営業体制をいかにつくるかが重要でした。

販売チャネルがトラディショナルで、流通量や地域が広範に分散している場合には、営業責任者を現地出身者から選任することが不可欠です。実際に営業を担うのは、農業に従事していた方々も含まれます。営業未経験の方をトレーニングする役割は、言葉や文化の違いを考慮すると、やはり現地の人材が担うのが最適です。消費財メーカーで営業経験を持つ人材をキーパーソンとして採用し、経営の現地化を推進する体制を整えていきました。

営業体制が整ったら、次は問屋さんや小売店へのアプローチです。ブランドがまだ浸透していない商品を消費者にトライアルしてもらうには店頭で店主に推奨してもらう必要があり、店主一人ひとりからブランドへのロイヤリティを獲得することが大切です。

「紙おむつや生理用品は、これまで扱ってきたシャンプーや雑貨とは異なる新たなカテゴリー。販売すれば、新たな収入源につながる」

そう伝えて店主のモチベーションを高めていきました。

また、店主のロイヤリティを醸成する取り組みのひとつとして、「Project Jagriti」も効果的でした。これは現地法人の女性のマネージャーが企画したプログラムです。このプログラムは、就労の機会が少なく経済的に自立が難しい女性に、雑貨店を開業する資金とノウハウを提供するものです。参加した女性たちはかつて穀物倉庫だったスペースを活用して、自分でレイアウトをして店舗を設営。そこでユニ・チャームの商品を取り扱いながら地域の女性に積極的に勧めてくれます。こうした活動の結果、インドの地方におけるユニ・チャームのシェアは、インドの都市部、さらにグローバル全体と比較しても高い水準に達しています。