『E.T.』に衝撃を受け映画監督を志した

U-NEXTは私が2007年に立ち上げた、動画配信サービスです。映画、ドラマ、アニメなどの動画はもとより、漫画や雑誌も提供するコンテンツプロバイダーとして、現在、約460万人のユーザーの方々にご利用いただいています。同業にはネットフリックスやアマゾン、ディズニープラスなど巨大資本の海外勢がひしめく中、数少ない国内発のプラットフォーマーとして成長を続けてきました。

U-NEXT HOLDINGS 社長CEO 宇野康秀
U-NEXT HOLDINGS 社長CEO
宇野康秀(うの・やすひで)
1963年、大阪府生まれ。88年明治学院大学卒業後、リクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。89年インテリジェンス(現パーソルキャリア)設立。98年大阪有線放送社を継ぎ、代表取締役就任。2009年U-NEXT設立。17年U-NEXTとUSENを経営統合し、USEN-NEXT HOLDINGS発足、社長CEOに就任。24年USEN-NEXT HOLDINGSからU-NEXT HOLDINGSへ商号を変更。

昨年度(24年8月期)も約50万人の新規ユーザーを獲得、シェア拡大率はネットフリックス超えの国内トップ。シェア率も17.9%と、ネットフリックス(21.5%)に次ぐ2位を維持しています(※1)。首位のネットフリックスは、シェア率の前年比減がつづき、U-NEXTが追い上げています。

※1:GEM Partners「動画配信(VOD)市場5年間予測(2025-2029年)レポート」。

【図表】U-NEXTのシェア拡大率が国内1位

私が動画配信サービスの事業を起こしたのは、高校時代からの映画好きがきっかけです。とくに『E.T.』(1982年)には衝撃を受けました。それまで私がよく観ていた日本映画は、文学作品のような重厚なストーリー展開が多かったのですが、スピルバーグ作品は純粋なエンターテインメントで観客を楽しませ、感動させるのです。映画の持つ力に心を揺さぶられました。

当時は街中にレンタルビデオ店が急増していた頃で、毎日のように立ち寄っては、何らかの作品を借りて観ていました。私は大阪・道頓堀の出身です。周囲には企業経営や商売で生計を立てている大人が多かったので、幼少の頃から漠然と「将来は事業家になりたい」と思っていたのですが、この頃は「映画制作の仕事にも携わりたい」という夢も芽生えていました。

最終的に、将来の目標を事業家に絞れたのも、映画作品がきっかけでした。高校3年生の冬に『汚れた英雄』(82年)を観ていて、エンドロールに「製作・監督 角川春樹」のクレジットを見つけたのです。角川春樹さんといえば、角川書店(現・KADOKAWA)の2代目社長。「事業家で成功すれば、映画制作に携われる可能性も開ける」と気づかされて、進路が定まりました。

ちなみに、私は2004年にギャガ・コミュニケーションズ(現・ギャガ)の社長に就任して以来、邦画製作に取り組んでおり、現在はUNO-FILMSという個人の映画会社で、映画製作に携わっています。高校生の頃の夢を叶えられたのは、あのとき、事業家の道を選んだからだと思います。

見たい作品を見たいときに見られる

U-NEXTのサービスの特徴は、配信コンテンツの多さです。動画36万本、電子書籍118万冊、雑誌読み放題200誌以上のラインアップを揃え、18年の調査開始時より「見放題作品数ナンバーワン(※2)」を維持しています。他社と比較しても圧倒的なカバレッジで、最大の強みになっています。

※2:GEM Partners調べ(2025年3月時点)。

他社のラインアップを見ると、それぞれ自社のユーザーを分析し、メイン層の嗜好に合った品揃えにしているようです。また、オリジナル作品の制作にも力を入れていて、たとえるなら、動画コンテンツのセレクトショップのようです。対してU-NEXTは、我々が作品を選り分けることはせず、とにかく面積が広くて「ないものはない」といえるくらい圧倒的な品揃えを誇る、動画コンテンツの百貨店を目指しています。