健康を保つには、どんなことに気を付けたらいいのか。『世界中の研究結果を調べてわかった! 糖尿病改善の最新ルール』(あさ出版)を書いた国際医療福祉大学三田病院 糖尿病・代謝・内分泌内科 部長/同大学医学部教授の坂本昌也さんは「お正月に食べる物に注意したほうがいい。特に餅は吸収力が高いため食べ方を間違えると健康リスクが高まるおそれがある」という――。(聞き手・構成=医療・健康コミュニケーター 高橋誠、第2回/全3回)
餅
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お餅は甘くないのに、なぜ血糖が上がるのか

餅は甘くありません。それなのに、食べると白米以上のスピードで血糖が上がることがあります。

鍵になるのは、もち米に含まれるデンプンの“構造”です。もち米は「アミロペクチン」というデンプンがほぼ100%でできており、このアミロペクチンは酵素がつかみやすく、体内で一気に糖へと分解されます。

つまり餅は、見た目や味に反して“即効性の炭水化物”。さらに柔らかいため、どうしても噛む回数が少なくなり、吸収のスピードに拍車がかかります。意識しないうちに“血糖スパイク”が起こる人が多いのは、この二つの構造が重なるためです。

冬はいつもより血糖値が上がりやすい

冬は、誰でも血糖が上がりやすくなる季節です。気温が下がると体が軽く緊張し、血糖を下げるホルモン(インスリン)の効きが落ちます。さらに、寒さで活動量が減るため、体が糖を処理する速度もゆっくりになります。

つまり、体質の問題ではなく“季節のクセ”なのです。同じ炭水化物を食べても、夏より冬のほうが血糖が上がりやすい。この前提のうえに、“吸収の速い餅”が重なると、普段であれば問題にならない量でも血糖が急に動きやすくなります。

私は「餅を控えてください」とは申しません。正月の楽しみをむやみに我慢する必要はありません。ただ、冬の体は少し敏感になっているという視点を持つだけで、食べ方の工夫が自然にでき、体への負担を小さくできます。

冬の代謝についての詳しい話は別の記事でお伝えします。ここではまず、

「冬は、いつもより血糖が上がりやすい」

この一点だけを心に留めていただければ十分です。