健康を保つためにはどんなことに気を付ければいいのか。『世界中の研究結果を調べてわかった! 糖尿病改善の最新ルール』(あさ出版)を書いた国際医療福祉大学三田病院糖尿病・代謝・内分泌内科 部長/同大学医学部教授の坂本昌也さんは「冬場は『血糖・血圧・脂質』の三つが乱れやすいため、健康リスクが高まりやすい。肥満の人や運動不足の人はもともと抱えていた健康リスクが深刻化しやすくなるため、注意が必要だ」という――。(聞き手・構成=医療・健康コミュニケーター 高橋誠、第3回/全3回)
正月に注意すべき「トリプルリスク」
正月にもっとも警戒したいのは、血糖・血圧・脂質――この三つが同時に乱れることです。私はこれを、ABCトリプルリスク(A1c=血糖、Blood pressure=血圧、Cholesterol=脂質)と呼んでいます。
それぞれ一つずつでも体には負担ですが、三つが重なった瞬間、影響は足し算ではなく、掛け算になります。さらに肥満が加わると、心臓や血管のトラブルのリスクが大きく跳ね上がることも、日本糖尿病データマネジメント研究会のABC Study(JDDM49)で示されています。
では、なぜ冬にこのトリプルリスクが重なりやすいのでしょうか。理由は単純で、冬の生活環境そのものが体に負荷をかけるからです。
寒さで血管は縮み、外に出る機会は減り、睡眠は浅くなり、自律神経は乱れやすくなる。一つひとつは小さな変化でも、重なることで体の調整機能は確実に弱っていきます。
こうして、体重増加や肥満をきっかけに、不調が次々と連鎖していく――これが、いわゆる「メタボリックドミノ」です。
厄介なのは、このドミノ倒しが目立たないまま進むこと。春の健診では問題がなくても、夏の運動不足、秋の食べ過ぎ、冬の代謝低下が少しずつ積み重なり、ある年になって初めて、「血糖・血圧・脂質がまとめて異常」という形で表に出てきます。
本人には「急に悪くなった」ように見えても、体の中では、時間をかけた準備が静かに進んでいた――それが、冬のトリプルリスクの本当の怖さです。

