競合の猛追の中で起きたコンビニPBの衝撃
2025年3月期、私たちはグループ全体で1兆616億円を売り上げ、プライベートブランド(PB)の売上構成比は13.6%に達しました。
マツモトキヨシ代表取締役社長。1975年、千葉県生まれ。99年、佐藤製薬に入社。2002年にマツモトキヨシ入社。21年4月より現職。23年4月からは、マツキヨココカラ&カンパニーの代表取締役専務も務める。
PB商品の内容は日用品や食品、医薬品など多岐にわたりますが、中でも私たちが力を入れているヘルスケア&ビューティ分野の構成比が高く、かつ付加価値の高い品揃えが特徴です。
PBというと全国的に有名なナショナルブランド(NB)の廉価版というイメージを持つ人がいるかもしれません。しかし、私たちのPBは違います。例えばオリジナルブランド「アルジェラン」のプレミアムリペアシャンプーは、ヘアケア市場ではプレミアム価格帯とされる1550円(税別)で販売しています。スキンケアブランド「ザ・レチノタイム」のリンクルローション モイストはシワ改善効果が期待できる成分を配合した医薬部外品で、価格は3700円(税別)。こちらもプチプラ商品を扱うドラッグストアでは比較的高価格帯ですが、お客様にリピート購入いただいています。
1990年代、私たちは都心の繁華街に出店し、若い女性が喜ぶ品揃えで大きく飛躍した時期がありました。当時、女子高生の間で流行っていたルーズソックス用のソックタッチが置いてあるような楽しい店づくりによって、マツモトキヨシのブランドアウェアネスは形成されてきたといえます。
しかし、2000年代後半に入ると、他社も同様の立地と品揃えで追いかけてきます。競合とどう差別化し、特徴を出していけばよいのかが問題になる。そこでPBの強化が一つの方針に掲げられました。
当時はコンビニ各社から高品質なPBが次々に発売され、私も大きな衝撃を受けました。ドラッグストア業界においても、美と健康の分野に注力している我々なら、そこに特化した機能を提供することができるのではないか。PBとNBを融合させ、お客様が発見する楽しさがある買い物の場を再び表現したいと考えたのです。
ところが、リブランド前の主力PB「MKカスタマー」は例にもれず、NBの廉価版の色彩が強かったのが実際です。バイヤーが売れ筋商品を補うような発想で商品を企画し、OEM先からのデザイン案を承認し、ロゴを貼りつける。ブランド名はあっても、ブランドとしての一貫性やルールがありませんでした。
美容分野にとどまらず日用品や医薬品、食品など多様な領域で商品開発をしていくとき、難しいのが分野や商品群によってお客様の購買に何が効くかが異なることです。化粧品には高機能化が効いても日用品はそうとは限りません。しかもそれらを一つのブランドに収めるにはどうすればよいか。
その頃に行った当社に対する期待感に関する調査が、一つの示唆を与えてくれました。1990年代に流行を形づくった時代に比べ、マツモトキヨシが持っていた「卓越性」や「尖り感」への期待が下がっている、という結果になったのです。全国に出店し店舗数が増加する中で、面白いものを仕入れて楽しい買い場にしていく仕入れが難しくなっていたのが原因でした。
サイズと素材に目をつけ絆創膏に別の価値を付加
そこで新しいPBでは、もう一度マツモトキヨシを体現する商品開発をしようと決めました。「日本の暮らしを楽しくする」というブランドビジョンを定義し、新たな主力ブランド名を「matsukiyo」に決定。一目でマツキヨの商品と認知できる一貫性があるデザインとともに、PB商品には必ず何らかの付加価値を付けるというルールを定めました。NBの廉価版にはしない、という方針を明確にしたのです。
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