生成AIがさらに進化した形であるAGIがもうすぐ登場する。そのとき人間は、はたして共存できるのだろうか。『スーパーAIが人間を超える日』(小社刊)の著者でサイエンス作家の竹内薫さんに話を聞いた。多くの人間の職が奪われる不安を感じる中、竹内さんは、AGIの登場は、人が人間らしさを取り戻すチャンスだと言う。なぜなのか――。
ロボットと人が人差し指を合わせようとしている
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AIの進化が変える仕事と人間の価値

AI(人工知能)が、驚くべき速さで進化しています。

メールの下書き、議事録の要約、文章の校正――日々の業務の中で、少しずつAIに頼る場面が増えてきました。2年半前に「ChatGPT」が登場したときは、ここまで早く職場に浸透するとは思わなかった、という人も多いでしょう。

ここで起きている変化は、まだ入り口にすぎません。これからAIは汎用人工知能「AGI」(Artificial General Intelligenceの略)へと進化して、人間のような幅広い知的能力を持ちます。

現在のAIは、音声認識や画像認識、自然言語処理など、ある特定のタスクに特化したものです。AGIが実現すれば、こうした機能を組み合わせて、より臨機応変に、さまざまな状況に対応できるようになります。

さらに、AGIはあらかじめプログラムされた動きだけを繰り返すのではなく、自らプログラムを書き換えて進化していきます。専門家が把握できるうちはまだ制御可能ですが、いずれ人間の理解を超えて変化していくようになるでしょう。

では、AGIは私たちの働き方や職場に、どのような影響をもたらすのでしょうか。本項ではAGIが人間を超える日を見据えて、私たちビジネスパーソンが生き残る術を考えてみたいと思います。

「AGIの初期段階」で残る仕事となくなる仕事

AIは、すでに複数の能力を組み合わせて回答を生成する「AGIの初期段階」に足を踏み入れつつあります。文章・画像・音声・動作といった、異なる情報を横断的に扱えるAIが登場し、業務への応用も始まっています。

従来のAIは、文章生成は得意でも、数式処理は苦手といった偏りがありました。しかし、最新のモデルでは、数式や論理的な推論にも対応できるようになっています。対話中に数式を書き、図を生成し、それをもとに次の説明へつなげることも可能になりつつあります。

この進化によって、AIが人間の仕事を担う領域は、急速に広がりつつあります。

私も関わる翻訳業では、文章をAIで一括翻訳し、人間はそのチェックと修正だけを行うスタイルが一般化しつつあります。仕上げまでAIが担うようになれば、翻訳者という職業のあり方は、大きく変わっていくでしょう。