企業が加入する婚活用のマッチングサービスを導入する企業が1000社を超えるなど、会社が社員の結婚を後押しするケースが増えている。職場恋愛は減少する一方なのに、なぜ会社が社員の婚活を支援するのだろうか。
カフェで楽しい会話をしているカップル
写真=iStock.com/kokouu
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「職場結婚」は大幅に低下恋愛は時間と金の無駄?

かつて職場は、恋が始まる場所でした。昭和の映画やドラマでは、仲人が趣味の部長夫妻や、後輩に結婚を勧める先輩社員が、定番のキャラクターとして登場しました。女性社員が「いい人と出会うために働いている」と口にする場面もありました。

結婚して家庭を持つことが社会人として“一人前の条件”と見なされた時代には、上司や同僚が「いい人はいるの?」「そろそろ身を固めろよ」などと声をかけるのも、ごく普通の光景でした。

しかし、今やそうした会話はすっかり影をひそめています。上司はもちろん同僚ですら、恋愛や結婚の話題は「ハラスメント」と受け取られかねないとして、避ける傾向が強まっています。

ここで、結婚に至る出会いの変遷を見てみましょう。恋愛結婚の件数が、初めてお見合い結婚を上回ったのが1960年代後半のこと。平成に入ると、職場や友人の紹介が出会いの主流となり、自然な人間関係の中から交際や結婚へとつながっていくケースが多く見られました。

国立社会保障・人口問題研究所が発表している「出生動向基本調査」によると、92年には初婚同士の夫婦の35.0%が「職場や仕事」を通じて知り合っていましたが、2021年にはこの割合は21.4%まで低下しています。職場での出会いは、もはや「ありふれたこと」ではなくなりつつあるのです。

そもそも、近年は結婚自体への意欲が低下しつつあります。リクルートブライダル総研の「恋愛・結婚調査2023」では、「いずれは結婚したい」と考える20〜40代の未婚者は46.1%にとどまっています。17年、19年の調査では55.4%だったので、この4〜6年で10%近くも低下したことになります。

結婚に消極的な理由としては「金銭的に余裕がなくなる」「行動や生き方が制限される」「メリットを感じない」といった声が上がっています。特に若い世代にとっては、結婚を「人生の必須項目」と見なさなくなっている現実があります。

恋愛に対する捉え方にも変化が見られます。「恋愛するなら結婚のため」と考える20代は男性で34.6%、女性で44.3%です。一方で「恋愛は時間とお金の無駄」と考える20代も増えており、男性では23.7%(17年比6.3ポイント増)、女性では19.4%(同7.2ポイント増)と、顕著な増加傾向を示しています。

出会いの機会そのものが減っていることも見逃せません。20〜40代の未婚者のうち、交際経験が一度もない人の割合は34.1%にのぼり、20代男性では46.0%と過去最高を記録しています。

こうした状況の中で、いま勢いを増しているのがマッチングサービスです。同ブライダル総研の「結婚実態調査2024」によると、婚活サービスを通じて結婚した人の割合は、00年の1.4%から、23年には15.3%へと大きく伸びています。特にネット系婚活サービスの利用は、11.4%と過去最高を更新しました。実際に婚活サービス利用者の47.4%が結婚に至ったというデータもあります。

(構成=渡辺一朗 イラストレーション=村田篤司)

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