部下との信頼関係は、互いに「被信頼感」があるかどうかで大きく変わる。あなたは「部下を信頼」できているだろうか――。
部下の報告を受ける不満げな上司
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです

職場の半数以上が「部下→上司」の片思い

「部下から信頼される上司でありたい」と思って努力している人は多いはずです。しかし、信頼とは相互関係によって成り立つもの。部下から信頼されたいと願うあなたは、「部下を信頼」できているでしょうか。

パーソル総合研究所は、九州大学・池田浩研究室と共同で、国内5つの組織の協力を得て、リーダー304名、メンバー1848名を対象に「上司と部下の信頼関係に関する調査」を実施しました。

その結果、上司と部下の関係のうち52.4%が、部下の「片思い」であることが明らかになりました。つまり、部下は上司を信頼しているにもかかわらず、上司は部下を十分に信頼していないという関係性が全体の半数以上を占めていたのです。

さらに同調査では、3カ月後に同じ上司・部下を対象に再調査を行い、信頼関係の変化とともに、チームのパフォーマンス(個人・組織の業績)や「はたらく幸せ」の実感がどう変化したかも明らかにしました。

この調査で示されたのは、信頼が一方向ではなく、相互に循環する関係こそが職場を良好な状態へと導くという新たな「信頼形成モデル」です。具体的には、信頼する・されるという関係に加え、「相手から信頼されている」と感じる「被信頼感」が加わることで、信頼はらせん状に深化していくということです。

互いに信頼し合っている関係では、3カ月後にはさらに関係性が深まり、業務成績やメンタル面でも好影響が見られました。一方で、信頼が一方通行だったり、相互に信頼が成立していなかったりする関係では、時間とともに悪化していく“負のらせん”に陥ることも明らかになりました。

フレックスタイム制やテレワークの導入も、上司と部下の信頼関係が構築しにくくなった一因となっています。それまでは、職場で机を並べていたので部下の仕事ぶりはつぶさに把握できました。今はメンバーとの接点が少なくなり、関係性が希薄になっています。また、職場文化の変容とともに、飲み会など懇親の機会も減少。上司にとって部下は「見えない」「知ることができない」ことが、信頼関係の構築を一層難しくしているのかもしれません。

こうした環境変化は、部下にとっても「被信頼感」を得にくくしています。たとえば、会議で部下の提案を却下した場合、かつてなら会議室から席に戻る途中で「次は期待しているよ」と声をかけ、さりげなく部下の被信頼感をつなぎとめることができました。しかし、オンライン会議では終了と同時に退出してしまうため、フォローをする機会が失われつつあります。

ですが、そうした環境変化は受け入れていくほかありません。これまでも新しい機器が導入されるたびに、上司は「部下の仕事ぶりが見えなくなった」と感じ、それを乗り越える工夫をしてきたはずです。

そもそも、昔の職場環境下では、本当に上司は部下を信頼できていたのでしょうか。これは現在調査中のテーマで結果は出ていないのですが、私は単に部下の姿が目視できていたから安心していただけではないかと考えています。