労使双方が休暇制度を正しく理解できていない
休める権利はあるはずなのに、なぜか気兼ねしてしまう――そんなふうに感じながら、有給休暇を使いきれずにいるビジネスパーソンは少なくありません。制度としては整っているのに、いまだに“取りにくさ”が残っているのが、日本の職場の現実ではないでしょうか。
政府は2025年までに年次有給休暇の取得率を70%に引き上げることを目標に掲げていました。取得率は年々上昇し、23年の取得率は65.3%で、1984年以降で過去最高を記録しましたが、まだ目標には届いていません。
たしかに、ここ数年で職場の風景は変わってきました。有給休暇の取得率を引き上げるため、企業が社員に休暇取得を促すようになり、「休みを取りなさい」という指導が行われるようになってきました。
それでも、いざ休もうとすると「この時期に休むの?」という周囲の視線が気になったり、「業務が中断してしまう」と自分からブレーキをかけたり。中には「休めないくらい忙しい=仕事ができる証し」と思い込んでいるケースすらあります。
たとえ休暇を取れたとしても「メールをチェックしたり、チャットで指示を出したりと、結局どこかで仕事に引き戻されている」という声も、よく耳にします。このような「働きながら休む」ような状態では、本当の意味でのリフレッシュは難しいのではないでしょうか。
オンとオフはしっかり切り分けたほうが、仕事の生産性が上がるという調査結果も報告されています。休むことは「迷惑をかけること」ではなく、よりよい仕事につながるための戦略的な行動なのです。
制度の仕組みをきちんと理解していなかったために正当な休暇が欠勤として扱われたり、申請のタイミングや伝え方によって職場に気まずさが生まれてしまうこともあります。
私が社労士として多くの職場を見て感じることは、制度がうまく活用されていない現実です。労使双方が内容を十分に理解できていないことも、一因になっていると思います。
私たちに必要なのは、制度を活かしきるための「正しい知識」と「うまく休む技術」です。休みにくさの原因が「空気」や「感情」だとしても、それを乗り越える最大の武器は“ルールを知っていること”です。根拠を持って申請し、冷静に対話する力が、休みやすい職場を形づくっていきます。
本稿では、制度の基本から活用のコツまでを整理し、気持ちよくしっかり休むためのヒントをお伝えしていきます。
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