日本企業は本当に社員を育ててきたのか
新卒一括採用から定年までの長期雇用を前提に、業務命令による職種や勤務地の異動を受け入れながら、OJT(On the Job Training)によってスキルを身につけ、幅広い職務経験を積んで社内でキャリアを築いていく――。
「日本型雇用」の特徴として、そのようなイメージを持たれている方は少なくないと思います。こうした日本独自の雇用システムが、高度経済成長の原動力となり、企業と働く個人の双方にメリットをもたらしたとも言われてきました。
しかし、グローバル化やIT化などビジネス環境の変化、生産年齢人口の減少、ライフスタイルの多様化が進む中、「日本型雇用は限界に来ている」と言われることが多くなってきました。
そうした流れで、会議の事例を参考に雇用のあり方を見直そうとする企業も増えつつあります。
とはいえ、そうした認識や行動が本当に現実をとらえているのかどうか、私たちリクルートワークス研究所のプロジェクトチームは疑問を感じていました。というのも、それらの多くは雇用の実態に根ざしたものではなく「日本型雇用はこういうものだ」という典型的なイメージ=通説に対する批判にとどまっていると思えたからです。
これからの雇用のあり方を考えるには、まずは現状をきちんと把握する必要があります。日本型雇用の特徴と言われているものが、今なお日本の雇用の特徴なのか、2024年2〜3月に多国間調査「Global Career Survey 2024」(以下、調査)を実施しました。日本を含む7カ国で、大卒以上の30〜40代の男女を対象に行い、集計対象をフルタイムの無期雇用(日本でいう正社員)に絞ったうえで、日本型雇用の特徴が今なお実際に当てはまるのか、他国と比較しました。
すると、従来のイメージとは異なる日本の雇用の実情が見えてきたのです。
OJTを受けた割合は7カ国中で日本が最低
まず注目したいのは、上司や先輩から直接指導を受けながら、現場でスキルを習得する「OJT」の育成手法です(図表1)。これは日本型雇用の中核的な要素とされてきましたが、実際にOJTを受けたと答えた人の割合は、日本では39.8%と、7カ国中でもっとも低い結果でした。
さらに内訳を見てみると、「教育プログラムに基づかない」OJTの割合が他国よりも多くなっていました。
これは、企業として体系的な育成方針があるというより、配属先の上司や先輩がその場で判断しながら指導している――つまり、属人的なやり方に頼っている傾向が強いことを示しています。
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