第2に大切なことは、マネジメントについて学ぶ姿勢を持ち続けることです。

マネジメントのクオリティとは、従来、個人の資質によって決定されると考えられていました。しかし、近年の研究では、「経験」とそれを対象とした「内省」によって学ばれるものであるという認識が広まっています。

マネジメントとは「Getting Things Done Through Others(他人をもってコトをなすこと)」を意味します。「課長」になる前も、なった後も、取引相手や部下などとの業務のやり取りから、マネジメントを学ぶ姿勢が大切です。

加えて、近年の研究では、高い業績を残すことのできるマネジャーには、自分のマネジメントに関して客観的に助言・支援してくれる人が身近にいることが明らかになっています。これからの「課長」には、キャリアや能力形成を支える人的ネットワークを自らデザインする力が求められるでしょう。

第3に、「組織外の世間の人々の感覚」を保持し続けることです。現場から離れず仕事を続けたり、世の中でニーズのあることを成し遂げていくためには、職場や組織から越境し、社外ネットワークや学習の機会を持つことも、今後は重要になるでしょう。

「楽しむ姿勢」が明るい未来をつくる

「未来の課長」は、今以上に「しんどい」のではないか。そんな苦労をするくらいだったら、ずっと実務担当者として生きるほうが楽ではないか。このように考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、ひとりの実務担当者として定年までサバイブすることも、また「しんどい」のです。「課長」にならずに生き残れるのは、人並み外れた専門性を有し、かつ、生涯にわたって個人で業績を出し続けられる人だけでしょう。

仕事がしんどいことは、未来も変わりません。重要なのは、「楽しむ姿勢」を持てるかどうかです。特に、変化の激しい時代には、「物事を前向きに捉えるかどうか」という心理的な性質自体が、「資本」として機能することを忘れてはなりません。前向きな姿勢こそが、明るい未来をつくるのです。

(構成=井上佐保子 写真=宇佐見利明)
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