多忙な社会人が何かを学び続けるのは難しい。人材開発や組織開発が専門の立教大学の中原淳教授は「個人で黙々と学ぶことも重要だが、だれかと共鳴し、熱量を分かち合いながら学ぶことも、学びの継続性にとっては重要だ」という――。

※本稿は、中原淳、パーソル総合研究所、ベネッセ教育総合研究所『学びをやめない生き方入門』(テオリア)の一部を再編集したものです。

左手にスマホを持ち、右手でノートパソコンに入力しようとしている女性の手元
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深い学びをもたらしてくれるのは「のめり込み経験」

「学び」と聞くと、机に向かって本を読んだり、セミナーや研修を受けたりといった、いわゆる「座学」をイメージする人が多いかもしれません。

しかし、実際に深い学びをもたらしてくれるのはむしろ、現場感のある場所で、全身全霊で夢中になって取り組む経験だったりはしないでしょうか?

これが、私たちの調査でも見えてきた3つめの突破口「のめり込み経験」です。

のめり込み経験とは、学ぶ人自身が、その「現場」に出かけ、なにかに「夢中」になりながら「全身」で取り組む機会のことを指しています。

5つの学び行動を取れている人たちは、このような「手触り感」のある経験を通じて、理想的な学びへのトビラを開いているようなのです。

「好きなことにハマる」だけではない

とはいえ、単に「好きなことにハマる」だけが、のめり込み経験ではありません。

仕事や社会活動、仲間との関わりのなかで、なにかに深く没頭し、身体感覚を伴って取り組むような機会であれば、それはのめり込み経験だと言えます。

具体的には、次のようなものが含まれます。

・全力でなにかに打ち込んだ経験――汗水たらしてがんばった、困難を乗り越えた

・課題の現場に関わった経験――フィールドワークや社会的困難を抱えている人にインタビューをした

・対話を通じた深い気づきの経験――上司や仲間と本音で議論した、友人と意見を徹底的にぶつけ合った

・「ありがとう」と言われた経験――顧客や同僚から直接感謝された、社外活動に対する周囲からのフィードバックを受けた

・集団での熱狂や達成感の経験――競技会やイベント・お祭りに参加した、仲間と打ち上げをして盛り上がった

・身体を動かして学んだ経験――炊き出しやゴミ拾いなどのボランティア活動をした、手を動かしながらなにかをつくり上げた