調査の結果、相手方が暴力団関係者に該当する疑いがあり、関係を遮断する必要がある場合には、各地の「暴追センター」に情報提供を求めることができる。暴排条例では、各自治体は市民が暴力団排除活動に自主的に取り組めるよう暴追センターなどと連携し、職員の派遣や情報提供、助言、その他必要な支援を行うと定めている。

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暴力団と付き合えば、あなたも「被疑者」になる!?

照会の結果、取引先が暴力団関係者と判明した場合は、契約解除等の関係遮断が認められる。この際、契約書等に暴力団の排除条項があれば、その条項に基づきスムーズに取引を解消することができる。そうした条項がないときも、取引の継続が条例により勧告・公表の対象となることから、判例法理により信頼関係の破壊等を理由に契約解除が可能と解釈できる。レピュテーション・リスクを善良な事業者が負わされる理由はないからである。このような場合の支援組織には各都道府県警察・暴追センターのほか、各都道府県の弁護士会の民事介入暴力被害者救済センターがあり、いずれも暴力団対策のノウハウを蓄積している。

暴力団関係者であることを理由に友人との交際を断つ場合、暴排条例を引いて「このままでは付き合えない。堅気に戻ってくれないか」と指摘することが大事だろう。相手が暴力団をやめれば問題は解決するからだ。

これからは「自分は被害者。暴力団に利用されただけ」という言い訳は通用しない。その意味では日ごろ出入りする店や場所などにも注意が必要だ。ネット社会のいま、「○○さんと食事した」という写真がウェブ上に勝手に掲載され、暴力団関係者との交遊関係があったかのように疑われてしまう可能性さえある。一度くらい食事を共にしても条例違反とはならないだろうと高をくくった結果、取引先から切られてしまうおそれもある。友人であっても暴力団関係者と判明した場合には、「泣いて馬謖を斬る」だけの勇気と決断が求められているのである。

(構成=久保田正志)
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