車の速度超過(スピード違反)は原則的には道路交通法違反であり、6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金の刑罰を受けることになる。ただし、道路交通法には反則金制度があり、軽微な違反の場合は一定の金額を払えば刑罰を免れる。この制度があるため、ある程度のスピード違反までは反則金の切符を切られ、反則金を納めるだけで済むため、刑罰を受けることはない。
「前科一犯の強盗」などというときの「前科」とは、何らかの刑罰を受けた経歴があることを指す。空き巣でも殺人でも速度超過でも、刑罰を受ければ同じように前科となる。速度超過という道交法違反であっても、反則金制度で刑罰を免除されない限り、立派な前科になる。30kmの速度超過などで、簡易裁判所に行くケースは刑罰であり、前科がつく。
虚偽記載が発覚すれば面倒なことに
では、実際に大きなスピード違反で前科一犯になってしまった場合、どうなってしまうのか。会社にバレたりするのだろうか。
まず、この前科はどこに記録されるのか。前科は、公の書類には書かれないが、警察が保管している情報(個人情報)に記載される。刑罰を受けなくても、捕まった前歴があればそれも記載される。
このような記録が簡単に表に出てくることはないが、例えば交通事故を起こして刑事事件の裁判になった場合、初犯かどうかなどの情報を基に判決が下されるため、こうした前科前歴情報が使われる。
一般の生活で関わってくることといえば、許認可関係では、罰金刑を受け終わって5年が経過していない者は許認可が受けられないといった条件がつくものがある。
公職選挙法で刑罰を受けてから一定期間、立候補できないといった規定も同じだ。
ちなみに、インターネット上の法律Q&Aなどで、「赤切符で前科がついても、5年で前科が消える」などと回答しているものがあるが、前科は一生消えない。恐らく、前述のような許認可案件などで前科があっても5年で再び資格が戻るといった話を勘違いした回答だろう。つまり、前科が消えるのではなく、「前科要件」が消えるだけで、前科があっても要件上は問われなくなるということだ。