年齢を重ねてもずっと元気な人はどこが違うのか。脳科学者の西剛志さんは「何気なく発している言葉が、脳に大きな影響を与えている。言葉の使い方が悪い人は、老人脳になるリスクが高くなる」という――。

※本稿は、西剛志『増量版 80歳でも脳が老化しない人がやっていること』(アスコム)の一部を再編集したものです。

公園のベンチでリラックスしているシニアカップル
写真=iStock.com/shapecharge
※写真はイメージです

脳の老化スピードが速い人がよく使う言葉

「あー、疲れた」
「もう、嫌になる!」
「そんなことできるわけない」

こんな言葉を、日頃何気なく使っていないでしょうか?

実は、こうした言葉は脳に影響を及ぼしています。「脳のプライミング効果」というものです。

ニューヨーク大学の実験でこのようなものがあります。学生のグループを2つに分けて、言葉の羅列で文章をつくってもらうという実験です。

ひとつ目のグループには「グレー」「孤独」「忘れやすい」「退職」などの年配者のような言葉を使ってもらう。

もうひとつのグループにはニュートラルな言葉で文章をつくってもらう。「のどがかわいた」「キレイな」「プライベート」などです。

そしてグループごとに移動をしてもらったところ、なんと年配者のような言葉を使ったグループメンバーの歩くスピードが遅くなってしまったのです。これには私もビックリしました。

この実験からわかることは、使った言葉がその後の行動に影響を与えるということです。どういう言葉を使うかで、無意識のうちに行動が変わります。どういう言葉を使うかは、大切です。

「老人脳」になる言葉

次にあげるリストは、脳にマイナスになる「使わないほうがいい言葉」です。これらの言葉は、使った瞬間に脳が悪い影響を受けてしまいます。

たとえば、「疲れた」と言った瞬間に、疲れたイメージが脳に出てきます。その結果、疲れたようなパフォーマンスをしてしまい、本当に疲れた状態になってしまうのです。実際にはそこまで疲れていなくても、脳が勝手に疲れた状態をつくり出してしまうことになります。