※本稿は、横山光昭『月3000円からはじめる新NISA超入門』(アスコム)の一部を加筆・再編集したものです。
「貯金は安全」という誤解
「新NISAで大損! みたいな記事を見ました。やはり貯金の方が安全なんでしょうか」
これは、私が家計相談でよく耳にする言葉です。確かに、貯金は私たちにとって馴染み深く、安心感のある資産運用の方法です。しかし、いま日本は本格的なインフレ時代に突入しています。食品価格の上昇、光熱費の高騰、ガソリン代の値上がり。私たちの生活のあらゆる場面で、物価上昇を実感する機会が増えています。
つまり、何もしなくても、私たちの大切な貯金の価値は、じわじわと目減りしているのです。さらに、現在の銀行預金の金利はほぼゼロ。「安全」だと信じていた貯金が、実は「確実に損をする」選択だったということに、多くの人が気付き始めています。
では、この「目に見えないお金の減少」から資産を守るには、どうすればよいのでしょうか。その答えは意外にもシンプルです。次の具体的な数字を見ていただければ、一目瞭然です。
「月3万円の貯金」より「月1万円の新NISA」
月3万円の貯金と月1万円の新NISAで投資信託を購入する人。
20年後、その差は驚くほど大きなものになります。
◆20年後の資産比較
月3万円を20年間コツコツ貯金すると、720万円が貯まります。
一方、月1万円、新NISAで20年間投資をすると(年利6%で計算)
【投資信託460万円の場合】
・投資元本:240万円
・運用益:約220万円
・資産合計:約460万円
まず、注目すべきは、240万円の元本がほぼ倍増しているという点です。これだけでも十分お得ですが、さらに重要なポイントがあります。65歳以降、毎月3万円ずつ引き出していく場合を考えてみましょう。
【月3万円ずつ貯めた貯金720万円の場合】
単純に月3万円ずつ引き出していくと、貯めた分の同じ期間、つまり20年でゼロになり、85歳時点で貯金は底をつきます。
【月1万円投資をしてきた投資信託460万円の場合】
この460万円の投資信託を保有したまま、貯金と同じように月3万円ずつ取り崩していきます。投資信託の場合、「運用しながら取り崩す」という特徴があります。
年率6%の運用益を前提とすると、460万円から年間約27万6000円(460万円×6%)の運用収益が期待できます。月額に換算すると約2万3000円。つまり、月3万円を引き出しても、その大部分を運用収益で補うことができるのです。