株価が急落している。このまま新NISAを続けて本当に大丈夫なのか。『月3000円からはじめる新NISA超入門』の著者で、ファイナンシャルプランナーの横山光昭さんは「目の前の株価に一喜一憂してはいけない。投資より貯金のほうが安全と思われているが、確実に損をする選択であることを認識してほしい」という――。

※本稿は、横山光昭『月3000円からはじめる新NISA超入門』(アスコム)の一部を加筆・再編集したものです。

株式市場のチャート背景にうなだれるビジネスパーソン
写真=iStock.com/pcess609
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「貯金は安全」という誤解

「新NISAで大損! みたいな記事を見ました。やはり貯金の方が安全なんでしょうか」

これは、私が家計相談でよく耳にする言葉です。確かに、貯金は私たちにとって馴染み深く、安心感のある資産運用の方法です。しかし、いま日本は本格的なインフレ時代に突入しています。食品価格の上昇、光熱費の高騰、ガソリン代の値上がり。私たちの生活のあらゆる場面で、物価上昇を実感する機会が増えています。

つまり、何もしなくても、私たちの大切な貯金の価値は、じわじわと目減りしているのです。さらに、現在の銀行預金の金利はほぼゼロ。「安全」だと信じていた貯金が、実は「確実に損をする」選択だったということに、多くの人が気付き始めています。

では、この「目に見えないお金の減少」から資産を守るには、どうすればよいのでしょうか。その答えは意外にもシンプルです。次の具体的な数字を見ていただければ、一目瞭然です。

「月3万円の貯金」より「月1万円の新NISA」

月3万円の貯金と月1万円の新NISAで投資信託を購入する人。

20年後、その差は驚くほど大きなものになります。

◆20年後の資産比較

月3万円を20年間コツコツ貯金すると、720万円が貯まります。

一方、月1万円、新NISAで20年間投資をすると(年利6%で計算)

【投資信託460万円の場合】
・投資元本:240万円
・運用益:約220万円
・資産合計:約460万円

まず、注目すべきは、240万円の元本がほぼ倍増しているという点です。これだけでも十分お得ですが、さらに重要なポイントがあります。65歳以降、毎月3万円ずつ引き出していく場合を考えてみましょう。

【月3万円ずつ貯めた貯金720万円の場合】
単純に月3万円ずつ引き出していくと、貯めた分の同じ期間、つまり20年でゼロになり、85歳時点で貯金は底をつきます。

【月1万円投資をしてきた投資信託460万円の場合】
この460万円の投資信託を保有したまま、貯金と同じように月3万円ずつ取り崩していきます。投資信託の場合、「運用しながら取り崩す」という特徴があります。
年率6%の運用益を前提とすると、460万円から年間約27万6000円(460万円×6%)の運用収益が期待できます。月額に換算すると約2万3000円。つまり、月3万円を引き出しても、その大部分を運用収益で補うことができるのです。