※本稿は、横山光昭『月3000円からはじめる新NISA超入門』(アスコム)の一部を加筆・再編集したものです。
順調だった「新NISAの1年目」
2024年に新NISA(少額投資非課税制度)がスタートしました。あらためて、この1年を振り返ってみましょう。
図表1のグラフは、新NISAで購入できる投資信託のうち、もっとも代表的な投資信託「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の基準価額・純資産のチャートです。見てのとおり、新NISAがスタートした2024年1月から8月ごろまで、順調に右肩上がりで推移しています。
青い線が投資信託の価額を表すグラフ、緑は純資産です。2024年1月4日の基準価額は2万756円。純資産は約1兆8138億円でした。そこから驚くべき上昇を続け、7月11日には基準価額2万7282円、純資産は4兆1031億円まで膨らみました。
カンタンに言えば、基準価額は投資信託の値段で、純資産はファンドの規模を示します。1月から7月の間で、基準価額は2万756円から2万7282円にアップしたので、たった半年で約30%もの上昇! 新NISAは、これ以上ない好環境でスタートを切ったのです。
しかし、皮肉なことに、この絶好のスタートダッシュが新NISAを始めた人々の明暗を分けることになります。
運命を分けた8月の試練
年初から順調に株価が上がっていった矢先の8月、急落がありました。新NISAスタートと同時に投資を始めた人たちにとって、それまでの半年間は、まさに「右肩上がり」の夢のような期間。それゆえ、8月の急落は大きなショックとなりました。
いきなりお金が減ってしまい、投資なんかやらなければよかったと思った人も多くいるでしょう。
私のところにも、こんな相談がありました。
「これまで貯金が苦手で月3000円でも続けられるか不安でしたが、毎月の積立が思ったより簡単でした。それに、投資を始めてからの半年で、どんどん利益が出ていくのを見て。5月には3万円、7月にはボーナスから10万円を投資に回しました。ところが、8月の暴落で一気にマイナスになって、どうすればいいでしょうか」
これは、新NISAで投資を始めたAさん(32歳・会社員)の言葉です。
また、ある50代の夫婦は、退職後の資金づくりのため新NISAで投資信託を始めましたが、順調な利益に気を良くして個別株式投資まで手を広げていました。