「二度と投資はしない」と決意した人も…

「投資信託を買い始めたのですが、あまりに順調だったので、成長投資枠で注目銘柄の株も購入してみました。でも8月の暴落で株が大きく下がり、どうしていいかわからなくて……」と、不安な表情で相談に訪れました。

このように、年初からの好調な相場で「投資って意外と簡単」という感覚を持ってしまった人ほど、8月の暴落で大きな試練に直面することになったのです。加えて「新NISA大暴落!」「大損した人も」という、少々あおり気味のニュースも追い打ちをかけました。

私も20年ほど投資を続けていますが、8月の急落は、リーマンショックのような歴史的な大暴落というものではありません。少し長い目で見れば、投資家であれば十分に対処できる、むしろ投資のチャンスとも言える程度のものでした。

にもかかわらず、この急落をきっかけに「二度と投資はしない」と決意してしまった人がいると聞くと、本当に残念でなりません。

株価暴落時に投資初心者がやってはいけないNG行動

2024年の8月のように株価が暴落、急落したときに絶対にやってはいけない3つのことがあります。それがこちらです。

【投資初心者が絶対にやってはいけない行動ベスト3】
1 慌てて投資信託を売却してしまう
2 積立投資をすぐにやめてしまう
3 積立額を下げてしまう

ひとつずつ、丁寧に説明していきましょう。

【図表2】株価が大暴落! 投資初心者が絶対にやってはいけないことベスト3!
出所=『月3000円からはじめる新NISA超入門』(アスコム)
1 慌てて投資信託を売却してしまう

投資初心者ほど、8月の急落時になど、投資信託の価額が下がったことが怖くなって、すぐに売却する「狼狽ろうばい売り」をしてしまいがちです。

狼狽売りとは、相場が下がって慌てふためいて売ってしまうこと。株価が下がったことで不安になり「もっと下がる前に売ろう」と焦る気持ちはわかりますが、売却してしまえば、損失を確定させることになります。

投資のプロたちが「最も避けるべき行動」と警告するのが、この狼狽売りなのです。

投資信託は、価額の上下に一喜一憂するものではありません。あくまでも長期で積み立ててこそ意味のあるものですから、短期で売ってしまうのは、まったく意味がありません。長期投資だからこそ得られる果実を、自ら放棄してしまうような行為なのです。

8月を耐えた人は“2度目の波”に乗れた

2 積立投資をすぐにやめてしまう

「もう投資はこりごり」と、せっかく始めた積立投資を中断してしまう人が続出しました。これは長期投資の利点を自ら放棄してしまう、もっとも残念な行為です。

振り返って考えてみれば、2024年1月から7月までの半年間、投資信託は約30%も上昇しました。その間、コツコツ積み立ててきた資産は、確実に成長の果実を得ていたのです。実際に、8月の急落以降の動きを見てみましょう。

急落で一時的に資産が目減りしたように見えても、それは「その時点での価額」が下がっただけのこと。年初から積み立ててきた投資信託を売却せずに保有し続けた人は、9月以降の価額上昇で、着実に資産価値を取り戻していきました。