「コア業種」分類への格上げを申請したという
セブン&アイが政府に対し、「外国為替及び外国貿易法」(外為法)に基づく、外国企業による株式取得の事前届け出が必要な「コア業種」分類に格上げするよう申請したと報じられている。提案があった直後に申請しているという話で、社外取締役の判断ではなく、井阪社長ら経営陣が申請したのだろう。
外為法のこの規定は、安全保障に関わる重要産業を中国などが買収することを牽制するために設けられた規制で、セブン&アイは規制が緩い「コア業種以外」に指定されている。経営陣の中に、買収防衛のために、政府の規制を利用しようと考えている人がいるとすると、国際社会からは「やはり日本は異質だ」という声が上がる可能性もある。もちろん、国粋主義者からすれば、日本のコンビニチェーンが外国企業に買われるのは問題、ということになるのだろうが、コンビニチェーンはセブン&アイの独占事業ではないし、インフラを供給している唯一の企業でもない。
セブン&アイが成長する上でのメリットは十分ある
日本社会は今後、大幅な人口減少に見舞われることが確定的で、国内小売業などを存続させるのは難しい。アリマンタシォンにしても、ジリ貧の日本国内での事業を手に入れたいわけではなく、コンビニ運営や商品開発のノウハウなどを獲得することが目的だろうと思われる。今後の出資形態などにもよるが、セブン&アイがグローバル企業として成長していく上で、国際的な大手流通業と手を組むメリットは十分にあるように思われる。セブン&アイにとどまらず日本企業の経営が国際化し、世界に通用する経営力を獲得していくための大きな一歩になることを期待したい。