「アワビのような噛み応え」

この2つの椎茸に共通するのは、その驚くべき食感とうま味です。

「アワビのような噛み応え」と表現されるように、弾むような歯ごたえと濃厚な味わいは一般的な椎茸とは別物です。

特に蒸し焼きにするとうま味が凝縮され、ジューシーでコリコリとした食感は、もしかしたらアワビよりおいしいかもしれません。

一口食べれば忘れられないほどの深い味わいは、まさに特別な体験を提供してくれます。

この高級椎茸は、その肉厚さと大きさを活かして様々な料理に使用できます。特に、厚切りにしてステーキやホイル焼きにすると、そのおいしさをより一層感じられます。

実際に、伝統的な日本料理や創作料理を提供する飲食店では、幅広いメニューに使われているようです。調理法によっては、柔らかく繊細で口溶けの良い食感にもなり、その使いやすさが高級食材として選ばれる理由の1つとなっています。

弘法大師が唐からもたらした

日本で椎茸が一般に広く食されるようになったのは9世紀頃とされ、弘法大師が唐から帰国した後、干し椎茸の食習慣をもたらしたと言われています。

初めは上流階級に愛された椎茸ですが、栽培技術の発展した江戸時代には庶民の間にも普及しました。

明治時代には、椎茸は松茸よりもはるかに高価で、価格差は10倍近くになっていたと記録されています。

梅田みどり『野菜ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)
梅田みどり『野菜ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)

しかし、戦後の燃料革命がアカマツ林の状態を変え、松茸の生育環境に悪影響を及ぼしました。

人工栽培が難しい松茸は希少価値が高まって価格が上昇した一方で、椎茸は栽培技術の進歩により生産量が増加し、価格は逆転しました。

その後も、食の多様化や中国からの干し椎茸の輸入増によって、かつての高級食材としての地位は影を潜めることとなりました。

そんな椎茸は、新しい品種の開発によってその価値が再評価されています。近い将来、松茸との価格関係が逆転し、最高級のきのことしての地位を獲得する日も近いかもしれません。

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