健康維持のために、野菜ジュースはどれだけ効果があるのか。野菜研究家の梅田みどりさんは「野菜の栄養素には、ビタミンCのように一旦加熱されると破壊され消滅してしまうものがある一方、加熱に強く破損されにくい栄養成分や、加熱によってさらに体内の吸収が良くなる栄養成分もある。大事なのは、市販の野菜ジュースを飲んで『これで今日の野菜ノルマは達成!』と安心せず、成分表示を確認しながら野菜摂取の補助として活用することだ」という――。

※本稿は、梅田みどり『野菜ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

野菜ジュースがそそがれるコップと背景の野菜とフルーツ
写真=iStock.com/masa44
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野菜ジュースは飲めば健康になれるか、それとも嗜好品なのか

「最近、野菜ジュースを飲みましたか?」

こんな質問を、私の周りの友達や仕事仲間に投げかけてみました。

返ってきた答えは「コンビニで弁当と一緒に買った」「箱買いして毎日飲んでいる」「青汁のパウダーを飲み始めた」など、野菜ジュースを意識して飲んでいる人が結構いました。

さらに踏み込んで、何のために飲んでいるかを聞くと、「最近野菜不足だから」「健康にいいと思ったから」「野菜ジュースは体にいいから」といった、健康維持のために飲んでいる人が多いようでした。

こうした意見がある一方で、「糖分が多いから飲まない」「野菜ジュースは野菜の役割を果たさない」「美味しくない」といった、“飲むだけ無駄派”も同じくらいいました。

はたして野菜ジュースは、飲めば健康になれるのでしょうか。それとも、ただの嗜好品なのでしょうか。

日本の野菜ジュースと言えば、1970年代にカゴメから発売されたトマトジュースが始まりと言われています。トマトの絵が描かれた缶入りのトマトジュースが我が家にもありました。

しかし、独特の匂いやとろみ、不自然な塩分でとてもおいしいとは思えませんでした。栄養があるからと大人が飲んでいたのでしょうが、私の実家では畑で野菜をたくさん作っていたので、普通に野菜を食べればいいのにと子どもながらに感じていました。

その後、紙パック入りの飲料が広まるとともに、「野菜と果物のミックスジュース」が各メーカーから発売されました。当時、子育て中だった私は、子どもに与えるジュースには、明治の「やさいとりんご」やグリコの「幼児用野菜&フルーツ」をよく選んでいました。

「どうせジュースを飲むなら、栄養も一緒に摂らせたい」という母の思いとも重なり、非常に売れていたと記憶しています。その後も消費者に支持され続け、両者とも今もなお販売されているロングセラー商品となっています。