コロナ禍でプラスαの栄養摂取効果を期待して関心が集まる

2020年から始まったコロナ禍により、私たちの健康に対する不安が増大しました。ウイルスが侵入しないようにマスクや除菌など、緊張感のある毎日を過ごした方も多いと思います。

その一方、外出自粛などの影響で、運動不足解消のための自宅トレーニングやダイエットがブームになりました。オンラインのヨガや、YouTubeのフィットネス動画などが話題を呼んだのもこの頃からでした。

こうした健康意識の高まりから、野菜飲料にも関心が集まり、2020年以降の野菜飲料市場の売上は上昇しました。特に、家庭内での野菜ジュースの需要が高まり、大型サイズの消費が拡大したと言います。

これは、野菜不足から消費が増えたというより、食事にプラスαの栄養摂取効果を期待してのことでしょう。

コロナ禍は消費者の購入先にも変化を起こしました。特にECサイトからの購入が増えたため、野菜ジュースをまとめて箱買いしたり、各地域の産地直送のものを試す人が多くなりました。

また、購入者の層も広がったため、野菜ジュースに興味がなかった女性層にも、飲みやすさ重視の野菜と果汁がミックスされた飲料を中心に伸びました。

そして現在では、野菜飲料の売れ行きは落ち着いています。新商品の開発競争が激化し、他の健康補助食品の新商品も増えた結果、野菜ジュース市場は苦戦に転じたのです。

ヘルシーで栄養価の高い「スムージー」の台頭

野菜ジュースと一口にいっても、缶やペットボトル、紙パック、瓶などに詰められて製品化されたものだけではありません。手作りの野菜ジュースは、飲みやすく栄養を逃さないために、機器の技術革新が進んでいます。

日本で始めての電動ミキサーが発売されたのは1950年頃です。食材の撹拌粉砕や、料理の下ごしらえに使う調理器具として発売されました。

その後、家庭で簡単にジュースを作ることができる機器として電動ジューサーが発売され、1970年代には一般家庭の普及率は60%を超えました。

その後、1980年代にアメリカのカルフォルニアから広まった「スムージー」が出現します。

キッチンでスムージーを飲む女性
写真=iStock.com/eclipse_images
※写真はイメージです

スムージーは、果物や野菜、ヨーグルト、果汁などをミキサーで撹拌して作る、滑らかでクリーミーな飲み物です。人気モデルにも好んで飲まれる、ヘルシーで栄養価の高いドリンクとして世界中で人気になりました。

日本で広まったのは1990年代以降ですが、美容や健康に関心が高まり新しい飲食トレンドが登場する中で、スムージーも自然と受け入れられました。

特に2000年代初頭には、ファーストフードチェーンやカフェでもスムージーがメニューに加えられました。そこから、一般の人々にも広く知られるようになり、今ではすっかり日本の食事にも定着する飲み物となりました。