病気になったときに備えて保険に入ったほうがいいのか。ファイナンシャルプランナーの櫻井かすみさんは「保険に加入する条件は、めったに起らなくても、起きたら大損失になる出来事であること。病気やケガ、がんのように起きる可能性が高いものに対して保険に入る必要はない」という――。
※本稿は、櫻井かすみ『投資への不安や抵抗が面白いほど消える本』(Gakken)の一部を再編集したものです。
保険は「万が一の出来事」に備えるもの
私がよく受ける保険に関する質問に、お答えしていきます。まずは医療保険と、がん保険。
Q. 医療保険、がん保険は入らなくていいの?
ズバリ、不要です。保険のプロたちは、ほとんど加入していません。大前提として、プロたちの考えは、万が一発生したら「大きな損失になる出来事」に備えて加入します。公的保障でカバーされていなかったり、生活がしていけなかったりする状況に陥らないために、民間の保険を利用します。
よくある医療保険は、通院には使えず病気やケガでの「入院」に備えるものです。「入院時に1日1万円、手術時に1回につき10万円」などが保障内容となっています。実際の入院給付金の平均は、1件当たり約9万9400円、手術給付金は約9万8200円ほどでした(一般社団法人生命保険協会「保険金・年金・給付金明細表(全42社合計)2020年4月1日〜2021年3月末日」より)。
「手術で10万円給付」はお得なのか?
これらの金額を病気やケガで給付されると、何だかお得な気持ちになります。精神的にもマイっていることも多いですから。
とはいえ、起こるか起こらないかわからない未知のことに対して支払われるもの。そのために、毎月数千円、1年間で数万円、それを何十年と支払い続けるわけです。その結果、10万円程度が給付されるだけ。効率悪くないでしょうか? これが、数百万円支給されるのであれば、また話は変わってくるでしょうが。
さらにいうと、万が一に備えるにしても、1回で10万円支払うのが無理という方は、実際はそんなにいないと思うのです。