お金を貯めるにはどうすればいいのか。消費経済ジャーナリストの松崎のり子さんは「節約好きがハマりやすい落とし穴がたくさんある。『もったいない』が口癖の人は注意したほうがいい」という――。
Amazonの段ボール箱
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ダダでもらった「110円分のポイント」はお得なのか

「もったいない」「ムダにせずに使い切る」という思考は美徳であり、節約生活に欠かせないとされている。ただし、「消費」の世界では、ちょっと違う。節約どころか、逆に貴重なお金を食い尽くしかねない考えだ。たとえとして、ちょっとした昔話をしよう。

あれは2022年のプロ野球日本シリーズでのことだ。ヤクルト・スワローズとオリックス・バファローズの対戦を見に明治神宮球場(東京都新宿区)に向かったところ、入場ゲートである小冊子を渡された。

まさに今話題の、Vポイント110円分のギフトカードだった。

QRコードを読み取ってアプリをダンロードすると、もれなく110円が受け取れるという。タダでもらえるのだから、多くの人が受け取ったのではないか。

とはいえ、110円だけだとろくな買い物はできない。この残高を使い切るために、上乗せで1000円ほどアプリにチャージした人もいるはずだ。

なお、その日の入場者数は3万人弱、うち半数がこのギフトを受け取ったと想定すると1万5000人が残高110円を手に入れたことになる。そのまた半数の人が、110円を使いきるために新たにチャージまでして買い物したとすれば、凄い消費効果になったのではないか。

「モッタイナイ消費」でお金はどんどん逃げていく

今や多くの人が利用しているPayPayだって、スタート時はアプリをダウンロードするだけで500円を付与したこともあった。

たとえわずかな金額でも、せっかくもらったポイントや残高をムダにするのはもったいない、使わないともったいない――と、それが動機となって余計な買い物をしてしまう心理、それが「モッタイナイ消費」だ。

しかも、「モッタイナイ」には様々な変則パターンが存在する。ついついお金を使ってしまうパターンを見てみよう。きっと、どれかに覚えがあるに違いない。