定期預金の「キャンペーン金利」に潜む罠
多くの人が夏のボーナスを手にしただろう。定額減税の実施もあり、手元にまとまったお金が入るのはうれしいものだ。
しかし、ボーナスの使い道についてのアンケートを見ると、たいていトップに来るのは「貯蓄」という回答。ボーナス=まとまったお金は、貯蓄にとって大事な原資だからだ。
銀行もこの時期に合わせて、特別金利を打ち出してくる。特にマイナス金利解除となった今年は、これまで以上に強気な数字が並ぶ。
おなじみのネット銀行では、ソニー銀行とSBI新生銀行がともに1年物円定期で0.35%、楽天銀行が1年物0.25%、auじぶん銀行に至っては1年物0.4%と、かなり攻めた数字だ。
貯蓄ではお金は増えないという声もあるだろうが、それでも安全・安心重視の人にとっては、心惹かれる金利に違いない(金利は税引き前。預け入れ金額の条件あり。SBI新生銀行は9月2日
しかし、こうした高め金利定期には注意が必要だ。「少しでも増やしたい」気持ちが逆効果になってしまうこともあるからだ。
なぜ1年物が多いのか
定期とは、文字通り「期間が定まっている」もの。ボーナス時のキャンペーン定期預金は、期間1年が多い。
1年たつと解約されて普通預金に払い出しされるか、通常金利の定期預金として継続されることになる。高めの金利を打ち出す銀行は、おかげで一定数の新規預金を獲得できるわけだ。
また、こうしたキャンペーンを打つネット銀行やネット支店はアドレスの登録が必須なので、特別金利目当てに新規で口座を開いてもらえば、その後いくらでもセールスをかけられる。お目当ては儲けが大きい外貨建ての定期預金や投資信託で、これらを買ってもらいたいのが本音だ。
たとえば外貨預金に0.3%どころではない金利をつけて、キャンペーン定期預金の期間が終わった客を呼び込む。うまく行けば手数料を稼ぐことができる。ちょっと高めの年利0.3%は、その呼び水というわけだ。