お金を貯めるにはどうすればいいのか。消費経済ジャーナリストの松崎のり子さんは「コスパを重視する節約好きがハマる落とし穴がたくさんある。最安値、割引、増量といった言葉には注意したほうがいい」という――。
ホテルのロビーを歩く宿泊客
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夏休みの旅行でわかる「お金が貯まらない人」の習慣

物価高の世の中、価格にこだわる人が口癖のように言うのが「コスパ」だ。

コスパ=コストパフォーマンスとは、払った金額に対して得られる価値や満足を指す。その裏には大事なお金をムダにしたくないという気持ちがあるはずだ。とはいえ、あまり価格ばかりを重視してしまうと、満足度が上がるどころか余計なお金がかかってしまうことになりかねない。

この夏休みに旅行に行く人は多いだろう。気になるのは宿泊料だ。インバウンド需要のせいかインフレのせいか、とにかく高騰している。昨年と同じ予算だと、まるで話にならない。1円でも安く済ませたいところだが、金額だけで見ると、そこに落とし穴が潜んでいることもある。「安さ」には、安い理由があるからだ。

筆者は観光でもビジネスホテルを利用することが多い。当然、宿泊料を比較するが、これまで利用した安めホテルにはいろいろなパターンがあった。

街の中心から離れており、周囲に食事ができる店が全くなかったケース。車で移動するのでインターチェンジ近くがいいと決めたところ、周囲が派手なネオンぎらぎらのカップルホテルばかりだったケース。

ちなみに宿泊したホテルも、元はそのタイプだったと見え、フロントは終日無人でタッチパネルのみ、かつ領収書が必要なら後日に郵送だった。

「最安値のホテル」で余計な出費が増える罠

さらによくあるのが、駐車場が別料金のケースだ。立地が街の中心部であればあるほど別料金となり、しかも高くなる。先着順で予約不可だと、民間の駐車場に止めて料金を払うことになりかねない。

宿泊料が少々高くなっても駐車場代がかからず、停められる台数が多いホテルの方が、トータルでコスパが良かったということもあるのだ。

もちろん立地も大事な要素だ。食事に行くには、その地の繁華街が徒歩圏であることが便利だが、地方都市ではそれがJRの駅前ではなく私鉄や路面電車の沿線駅だったりする。

JR駅前にホテルをとったものの、目当ての有名店に行こうとすると、さらに私鉄に乗らなくてはいけない場合もある。いくら安く泊まっても、食事のたびにまた電車に乗るようでは時間とお金がもったいない。