金利はキリがいい数字だが、受け取る利息はキリが悪い

いや大丈夫、そのような手には乗らないという預金者も油断は禁物だ。金利はキリのいい数字でも、あくまで税引き前のもの。ついた利息からは20.315%の税金が引かれることになる。

これは、誰が見てもキリが悪い数字だ。例えば100万円を年0.4%の1年物定期に預けた場合の、税引き後利息は3187円。0.3%なら2390円ほど。端数が出ないはずがない。

しかし、大概のネット銀行はコンビニATMでの引き出しとなり、その場合1000円未満の硬貨は扱えない。残りの187円、390円はそのまま口座に残るか、硬貨を扱う大手銀行にある自分名義の口座に振り込むしかない。せっかく得た利息なのに、我が手にするには手間がかかるのだ。

キャンペーン金利のためにと口座を開いても、もしその後使う予定がないなら、引き出せない小銭がいつまでも残っていることになり、口座も預金もムダでしかない。

おまけに、昨今は一定期間稼働しない口座に手数料をかける銀行も増えてきており、せっかくの利息が手数料に消えてしまった――なんて、笑い話ではすまない事態になりそうだ。

銀行の通帳
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元本が少ない人ほど高金利に手を出しがち

預金でお金を増やしたいなら、金利より大事なのは元本の大きさだ。

例えば預け入れる資金が10万円だったとする。1年定期の金利が年0.3%だと、利息は239円。0.5%でも398円だ。50万円預けた場合では、0.3%で1195円、0.5%で1992円になる。結局、ものを言うのは元本なのだ。貯蓄のセオリーに、100万円に達するまではいちいち金利を気にするなというのがある。それより、せっせと元本を増やす方がいい。

しかし、手持ち資金の少ない人ほど早く結果を出したくて、高い金利に飛びつくもの。虎の子の10万円を、金利がよさそうだからと夏と冬とのボーナス時期に違う銀行に預けたりして元本を分散させていては、かえって増えてはいかないのだが……。

ポイ活好きの人が気にする「ポイント還元率」にも同じ錯覚が潜んでいる。10%還元、20%還元という数字は華々しく見えるが、これも母数次第。1万円使った人の20%還元は2000円だが、1000円使った人では200円しかない。

同じ還元率でも、得られる結果はずいぶん違う。%の前につく数字は平等に見えるが、還元された金額は平等ではない。たくさんお金を使って消費しなければ、たくさんの恩恵にはあずかれないのだ。それが本当に得なのか損なのか、はたしてどっちだろう?

お得感のある「数字の錯覚」にご用心

世の中には、我々の判断を惑わせるような数字のマジックが溢れている。

例えばダイエット器具の宣伝文句に「3人に1人が効果があったと回答」とあれば、これは痩せられそうだと感じるかもしれない。