パターン1 もう手元にあるのにモッタイナイ
利用代金ごとにスタンプを押してくれるショップカード。5個たまったら100円割引になるというという。すでに3つのスタンプが押されたカードが手元にあるとしたら、絶対にあと2個は押したくなってくる。カードに有効期限があったりすると、さあ大変だ。急いであと2回、その店に行くことになるだろう。たとえ交通費をかけてでも。
このように、すでに「トクする権利」が手元にあると、それが余計な消費へと駆り立てるきっかけになる。
次回使える「ワンドリンク無料券」、誕生月限定の「ポイント2倍特典」…
もし、次に使えるワンドリンク無料券をもらったら、もう一度その店に行こうと思う。使わないのはモッタイないからだ。
しかし、ドリンクだけのオーダーはできない規定になっているので、当然新たに飲食代が発生する。次の買い物から使える割引券も同じ仕組みだ。得したように見えて、余計なお金を使っている。
なお、誰にでも届く通常のクーポンや割引券ならスルーできる人でも、特別感のある「トクする権利」には心が動くもの。たとえば、年に一度しか訪れない誕生日。その月になるとどっさり届く割引クーポンは、やっぱり使わないと「モッタイナイ」! この月に買い物すると、誕生日特典でポイント倍増と聞くと「モッタイナイ」!
なにせ1年に一度しか、こんなチャンスは巡ってこないのだ。しかも、その月だけの特典だ、月末が近づくほど「モッタイナイ」気持ちが積み重なるだろう。要注意である。
客に「トクする権利」を先に渡しておく理由
特別な権利といえば、ゴールドなど上位ステイタスのクレジットカードにも気を付けたい。豪華特典として、一流レストランのコース料理代が1人無料になるサービスが人気だ。ラインナップは厳選された高級レストランばかり、予約がなかなか取れない店もミシュランの星付きも含まれている。そんな特別な権利を使わないなんて「モッタイナイ」じゃないか。
とはいえ、コース料理にはアルコールは含まれない。2人でフレンチディナーを楽しむとなれば、ワインも1本では済まないだろう。
一流レストランともなれば、お酒も一流、価格だってそれなりだ。コース料金一人分と同じくらいになる可能性はある。そんな野暮なことなど気にしないという、富裕層の皆さんには余計なお世話だが……。
「トクする権利」を先に渡しておくと、受け取った相手はそれを使いたくてたまらなくなる。そこで新たに得お金を使ってしまうのだ。さて結局、トクしたのは誰なのか考えてみるといいだろう。