会社員や公務員には「傷病手当」がある

Q. 働けなくなった時のための就業不能保険は?

病気などで働けなくなると、「収入が減るかもしれない……」という不安は誰もが抱えそうです。でも結論から申し上げると、これも不要。

特に会社員や公務員の方は、いっそう要らないです。なぜなら「全国健康保険協会(協会けんぽ)」や「共済組合」には、傷病手当があるからです。傷病手当とは、病気やケガで連続する3日間含め4日以上働けなくなった場合に給付されるものです。

最長1年半、標準報酬月額が基準となり、それまでの収入の3分の2に相当する金額です。例えば、月給が30万円の場合、20万円分の傷病手当金を受け取ることになります。

そもそも、民間の就業不能保険の給付金を受けるのは、条件がかなり厳しいのです。

支払い対象外期間があらかじめ定められているものもあります。つまりこの間は、就業不能になっても給付されませんし、受給できるのはあくまで対象外期間を経過してからです。とはいっても最近は、病気などであれば医療が進んでいるので、早期に回復しているケースが多い傾向にあります。

民間保険に入るよりよっぽど使える

また、精神疾患などは長期間就業不能になるケースはありますが、対象外になってしまうことが多いのです。医師の指示に基づいて入院ないし在宅療養している状態が、2カ月以上や半年以上継続してはじめて対象になるなど、条件がかなり限定されていることもあります。

一方で、傷病手当は精神疾患もカバーしています。わざわざ民間の就業不能保険に入らなくても、よっぽどこちらのほうが使えるものになります。

心身に障害が残る場合は「障害年金」制度もあります。傷病手当金は「仕事に行けない」場合に期間限定で保障する制度ですが、心身に障害が残る場合には「障害年金」の受給対象になる場合もあります。

こちらは健康保険からではなく、障害年金の制度です。長く働けなくなる場合や、障害が残る可能性があるときに利用できる制度になります。公的年金に加入しているすべての人が対象です。また、傷病手当金のように期間限定ではなく、症状の程度が変わらない限り受給し続けることができます。

ただし、障害年金による給付額はそこまで期待できないことは、ご理解ください。仮に常時介護を必要とする障害等級1級に認定されても、国民全員が対象となる障害基礎年金の額は1年分で97万2250円(令和4年4月からの金額、子の加算額を除く)です。会社員や公務員の場合は、加入実績によって金額に差が出る障害厚生年金や障害共済年金が、どの程度上乗せされるかにもよりますが。