※本稿は、ジャチョン著、藤田麗子訳『逆行者 お金 時間 運命から解放される、人生戦略』(CCCメディアハウス)の一部を再編集したものです。
多くの人が自意識のせいでチャンスを逃している
「あの有名事業家は、実家がもともと金持ちなんだろ。ん? 貧しかったって? じゃあ詐欺でもして金を稼いだんだな」
「私が付き合ってきた男はクズばっかり。男なんて信じられない」
「本を読まずに金持ちになった人もたくさんいるよ。僕は本なんか読まない。YouTubeがあるのに、わざわざ読書する必要ないし」
「不動産で稼いだ人はどうせみんな投資家だよ。まじめにコツコツ稼がないとね」
「ソウルの大学? SKY〔韓国のトップ3大学。ソウル大学、高麗大学、延世大学の頭文字〕じゃなきゃ意味ないでしょ。ソウル大卒でもバカな子は多いよ」
ネット上でたまに見かけるコメントだ。断言してもいいが、こんなことを言う人は人生の自由を手に入れることはできない。これらはやや極端な例だが、多くの人が自意識のせいでチャンスを逃している。自我が傷つくことを避けようとして、重要な学習の機会を逃してしまう。一世一代の有益な情報に触れても、自意識を守るために回避して、順理者(遺伝子、無意識、自意識の操り人形として、生まれ持った運命に従って生きる人々)としての人生を続けていく。
自意識を解体しない以上、いかなる成長もできない
自意識の解体は、本書で紹介する逆行者7段階モデルにおいてもっとも重要な概念だ。この部分が解決されなければ、どれだけいい情報が入ってきても「私にはできない」「これには裏があるはず」「こんなのでたらめだ」と合理化して受け入れられず、成長の可能性が完全に閉ざされてしまう。多くの人々が自由な人生を得られない理由がここにある。僕としても、早く本論に入って「こんなふうにお金を稼ぐんですよ」「こんなふうにすればいいんです」と言いたい。でも、あなたの防衛機制は僕が伝えようとする情報をすべてはねのけることだろう。
自意識を解体しない以上、いかなる成長もできない。頭のいい人の大部分が一定の年齢を超えると、何もかも“人のせい”にして永遠に成長できなくなってしまうのはそのせいだ。
新しい情報を聞くには、10分もかからない。それなのに、成功した友人が情報を提供してくれても「えらそうに」と思って聞き流してしまう。自意識は、自分より優秀な人に対する拒否感を芽生えさせる。経済的自由を手にするための本を薦められても「いくら本を読んだって、ダメな人はダメなんですよ」と言い訳をして拒絶する。実際は、本人の読解力が足りず、頭が悪いのである。それを認めて、どうやって読解力を上げていくかを考えるべきなのに、自意識は「私はバカだ」ということを認めようとせず、合理化をして逃げてしまう。