人生を好転させるには何から始めればいいのか。2022年に韓国で最も売れた自己啓発書『逆行者』の著者であるジャチョンさんは「自分のキャラ設定を変えることが大切だ。キャラを先に変えれば、すんなり変化が起こる」という――。

※本稿は、ジャチョン著、藤田麗子訳『逆行者 お金 時間 運命から解放される、人生戦略』(CCCメディアハウス)の一部を再編集したものです。

金貨とビジネスマン
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一つの事件をきっかけに人生が様変わりした人々

20歳まで最悪の生活を送っていた僕は、映画館でアルバイトを始め、そこで仲間はずれにされた。その後、読書によって僕の人生は完全に変わった。100万人のチャンネル登録者数を持つ、とある不動産YouTuberは、30代半ばの頃に会社の先輩が解雇されるのを見て覚醒した。アソンダイソー(韓国のダイソー。日本の大創産業が保有していた株式の34.21%を取得)のパク・ジョンブ会長、グローバル総合バイオ医薬品企業セルトリオンのソ・ジョンジン会長も、40代で会社をクビになったことで覚醒した。自力で財を成した人々には、一つの事件をきっかけに人生が様変わりしたという共通点がある。

「母が亡くなるとき、『おまえだけは金持ちになってほしい』という言葉を遺したんです。そのとき目が覚めました」
「子どもを2人授かりましたが、粉ミルクを買うお金すらありませんでした。会社でこき使われながら、やっとのことで200万ウォンの月給を稼ぐ生活がつらすぎて自殺を考えました。漢江まで行って飛び込もうとしたとき、変わろうと決心しました」
「彼女の友人と母親にひどく嫌われていました。高卒のチンピラ扱いされるのがあまりにも悔しくて、結婚に反対されたことにも怒りが湧きました。とんでもない成功者になってやるぞ、とそのとき心に誓ったんです」

大きな変化のチャンスに出会える確率は極めて低い

大きな成功を収めた人の多くが言うように、こうした決定的な事件は人生を変えるきっかけになる。究極の不幸を逆転のチャンスに変えた逆行者は、ドラマティックなエピソードを持っていることが多い。しかし、こうした大きな変化のチャンスに出会える確率は極めて低い。あるいは、“運よく”きっかけが訪れても、それがチャンスであることに気づかない人がほとんどだ。自分は不幸な人間なんだなと自嘲するだけで終わってしまう。

このように、多くの人は覚醒の契機となる事件を経験することがない。ある意味、運がよくなければ事件は起こらない。では、人生を変える事件を人為的に作れるとしたらどうだろう? 0.1%の人だけが経験する大事件を作り出せたら、キャラクターをドラマティックに変えることができるのではないだろうか? 僕はそれが可能だと考え、「キャラ設定」と名づけた。このキャラクター理論は、逆行者になるためにとても重要なスキルだ。