2020年から「ベストセラー作家」にキャラ設定を変えた

2018年まで、僕のキャラクターは事業家だった。2019年にはYouTuber、2020年からは作家、それもベストセラー作家にキャラ設定を変えた。常識的な人がこんな目標を耳にしたら、一笑に付すに違いない。実際、身近な人に「僕は、韓国でもっとも偉大な自己啓発書を書くよ」と話したときは、鼻で笑われた。知人がそんなことを言い出したら、僕だってこう思ったことだろう。「世の中には賢い人がいっぱいいるのに……本を1冊も書いたことがない人がいきなりどうやってそんな本を書くっていうんだよ? でも本人は真剣みたいだから、とりあえず相槌を打っておこう」。

もちろん、僕が実際にそうなれるかどうかはわからない。でも、他の人たちがそう思っているからといって、自分まで「僕にベストセラーなんか書けるわけがない」と決めつけてしまったら、その瞬間、ベストセラーどころか平凡な本すら出版できなくなる。そこであえて大きな目標を立てて、自分から周りに言いふらした。これは、自己啓発書によく出てくる「自分を信じれば、宇宙はあなたを助けてくれる」とか「ソウル大学を目標にすれば、延世大学や高麗大学には入れる」みたいな話ではない。そんな言葉をいくら聞いても、あなたに変化は起こらない。

コンピューター
写真=iStock.com/LaylaBird
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読書をきっかけに「成長マインドセット」になった

お金を稼ごうと決心する瞬間は、人それぞれ異なる。

もともとお金稼ぎが好きでセンスがある人もまれにいるが、たいていの人はそこまでお金に興味がない。意外だ、って? いや、そんなことはない。誰もがお金の話をする(あるいは、興味があってもないふりをする)が、実際にお金を稼ごうとはしない。お金稼ぎに関する“行動”を起こさないのだ。夢想家のように、大金を手にしたいという漠然とした“夢”を抱いているだけだ。しかし、ときどき何かをきっかけにして、本当にお金を稼ごうと決心をする人がいる。

ファストレーンのお金持ち』(花泉社、2013年)の著者M・J・デマルコは、ある日ランボルギーニに乗った若い発明家と出会う。歌手やスポーツ選手など、特別な人しか大金を稼げないとばかり思っていたが、平凡な人でもアイディア一つでお金持ちになれると気づき、キャラクターを変えてお金を稼ごうと決心する。

前述のように、僕の場合は偶然読んだ自己啓発書がきっかけだった。それまでは自分を劣等人間だと決めつけていたが(固定マインドセット)、読了後は「僕は特別な人間なんだ」という自己暗示をかけるようになった。優れた自己啓発書を数百冊読んだら、本当に自分も偉大な人になれそうだという気持ちが強まり、ネガティブ思考が消えていった(成長マインドセット)。

なぜなら、本の中には僕の境遇に負けず劣らず、厳しい環境からのし上がった人の話が無数に出てきたからだ。数百冊を読むなんて今思うと要領の悪いやり方だが、オタク気質の僕には最適の方法だった。とにかくこれをきっかけに、僕は生まれて初めて頭の中のソフトウェアを自分で変える経験をしたわけだ。