自分の心に素直に生きている人は何をしているのか。精神科医の藤野智哉さんは「他の人からバカにされようが否定されようが、とにかく逃げたから、今、生きているという人は少なからずいる。自分を守るために逃げられたのなら、むしろ自分を褒めてあげるといい。自分の心を大事に考えるなら、『逃げない』選択が『逃げ』ということもある」という――。
※本稿は、藤野智哉『「そのままの自分」を生きてみる 精神科医が教える心がラクになるコツ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
自分を守るために逃げられたのなら、自分を褒めてあげる
ピンチになったら、「がんばる」ではなく「逃げる」ことも知ってほしいなと思います。
世の中が「逃げグセ」に厳しすぎるせいで、みんな「逃げないグセ」がつきすぎなんですよね。
たとえば、僕ら精神科医のところにこられる患者さんやご家族の中には「転職なんてもってのほか」という人も少なくないのですが、僕らはそれもつねに選択肢の1つに入れていますし、実際にそうしてうまくいった人も見てきています。
仕事の中には「向き・不向き」「合う・合わない」もあります。
企業の中には、「ブラック企業」だってあります。
それなのに「つらいから転職する」を「逃げ」だと思って、罪悪感をもってしまう人も多かったりするんですよね。
「逃げる」。いいじゃないですか。
自分を守るために逃げられたのなら、むしろ自分を褒めてあげてください。
人生を続ける、自分の人生から逃げないために、今逃げる。
そもそも「何を『逃げ』と呼ぶのか」という問題もありますよね。
自分の気持ちがつらいのに、無理して会社に残るのは、自分の気持ちから「逃げてる」ともいえます。
自分の心を大事に考えるなら、「逃げない」選択が「逃げ」だったりするんです。